研究課題/領域番号 |
15K03706
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
伊田 昌弘 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (50223079)
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研究分担者 |
多田 和美 近畿大学, 経営学部, 准教授 (50582805)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | クラウドコンピューティング / 越境EC / グローバル・ニッチ商品 |
研究実績の概要 |
本研究は次の4点を目的としている。第1に、クラウドコンピューティング(以下クラウド)が国際ビジネスに与える影響を明らかにする。第2に、クラウドを利用することで大きな展開を遂げている越境ECに注目し、その商品・サービスに関する特徴および規模を定量的に把握した上で、決定因子を発見し、今後の予測を統計的に行う。第3に、そこでは、企業組織に注目し、新商品やグローバル・ニッチ商品などの研究開発に与える影響を明らかにし、外部資源の利用可能性についての考察を行う。第4に、ボーン・グローバル企業や地場企業についての可能性を明らかにすることで、従来理論の変更・修正や拡張を提示する。 本研究は5か年で実施され、初年度に当たる平成27年度には上述の研究目的および研究計画を踏まえて、主に次の4点の研究を実施した。第1に、国際ビジネス全般および越境ECをはじめICTを活用した国際ビジネスに関する先行研究を渉猟し、理論研究を実施した。第2に、越境ECをはじめICTを活用した国際ビジネスに関連する企業のパイロット・スタディを実施した。第3に、パイロット・スタディの結果を踏まえて、越境ECに関する日本企業複数社に対して聞き取り調査を実施した。第4に、以上の理論研究、パイロット・スタディ、聞き取り調査の結果を踏まえて、事例研究を実施した。第5に、以上の本年度に実施した理論研究と定性研究の結果を総括し、来年度に実施予定の定量研究(質問票調査)に向けて、調査対象先および質問票案等の検討を行った。 以上の今年度の研究成果の一部は、研究代表者である伊田によって多国籍企業学会において研究報告が行われた。また、随時、研究報告・学術論文等の形で成果を公表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1年目の研究の実施計画は以下の4点であり、それぞれの進捗状況について述べる。
①先行研究のサーベイ、及び論点整理については、ほぼ完了した。 ②パイロットスタデディとして、海外企業のヒアリングを計画していたが、日程・研究予算・相手企業の都合などによって実施が困難だったため、代わりに国内において国際展開している2社についてヒアリングを実施した。 ③6か国調査(日・米・中・英・独・韓)について、アンケート項目を策定し、委託業者との詳細の検討を終えた。 ④経産省の推計方法と結果について検討し、併せて我々の推計方法の検討を終えた。
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今後の研究の推進方策 |
第2年目は、6か国調査(日・米・中・英・独・韓)を各国の消費者向けに行い、各国のパターンを明らかにする。その際の推進方策及び留意点は以下の3点である。
①アンケートの実施に当たっては、「男女」、「年齢」、「居住地域」に偏りがないよう配慮し、可能な限り母集団に近づける。サンプル数は、各国200程度×6か国=1200程度の予定となっている。②アンケートの設計に当たっては、「価格」と「品質」の2つの要因を入れ込み、この関係性が明確になるように配慮する。③アンケートの分析に当たっては、構造が明らかになるような統計基本量をはじめとした記述統計による分析はもちろんだが、数理手法による相関・回帰分析、そして共分散構造分析を行う。
以上を通して、各国消費者の構造パターンの違いと同質性を明らかにし、これと適合的な越境ECパターン、企業を導出することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度(平成28年度)に実施予定の「6か国アンケート調査(日本、韓国、中国、アメリカ、イギリス、ドイツ)」について、委託予定の業者(楽天リサーチ社)に対して、「項目数20」、「サンプル数各国200」、とした場合の打ち合わせを持ち、見積もりを取ったところ、157万円(税込)との回答を得た。本研究にとって、「6か国アンケート調査」は決定的に重要であり、サンプル数も200を下回った場合の統計学的安定性を考慮した結果、可能な限り研究予算をアンケート調査に回すべきという結論に至ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度(平成28年度)は、「6か国アンケート調査(日本、韓国、中国、アメリカ、イギリス、ドイツ)」を実施する。 委託予定の業者(楽天リサーチ社)の新規業者登録はすでに完了しており、「項目数20」「サンプル数各国200」、「男女半々」「居住地域全域」「15歳~65歳」として実施する予定である。
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