研究課題/領域番号 |
15K03727
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
大倉 真人 同志社女子大学, 現代社会学部, 准教授 (50346904)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 保険 / 後悔理論 |
研究実績の概要 |
今年度における研究実績は、台湾のFeng Chia Universityで開催された2016 East Asia Risk Management & Insurance Workshopにおける以下の研究報告である。 Okura Mahito, Fujii Yoichiro, and Osaki Yusuke, "Superior and Inferior Goods in an Insurance Market under Regret". なお上記研究報告の概要について述べれば、以下のようになる。保険が上級財であるか下級財であるかについての議論は数多く存在するものの、決定的な結論は得られていない。Mossin (1968)は、絶対的危険回避度が富の増加に対して増加する(減少する・不変の)場合、保険は上級財(下級財・中立財)となることをモデル分析により導いている。しかし、現実における個人の絶対的危険回避度は富に増加に対して減少する傾向にあるのに対し、実証研究等の多くでは保険が上級財であるとの結論が導き出されており、Mossin (1968)の結論では説明できない状況となっている。 上記を受けて、本研究では、伝統的な期待効用理論ではなく、保険の購入・未購入を通じて生じる「後悔」の存在に着目した上で、この後悔を期待効用理論に組み入れた後悔理論(regret theory)を用いた検討を行った。そして検討の結果、絶対的危険回避度が富の増加に対して減少する場合であっても、保険が正常財となる可能性があることなどを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である今年度において研究報告ができたこともあり、「おおむね順調に進展」と評価している。ただし、今年度の研究報告で示したモデルには、その展開等の面で少なからず改良の余地があることから、「計画以上の進展」と呼べるほどの進捗状況には至っていないと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
2016 East Asia Risk Management & Insurance Workshopで報告した内容をより精緻化したものを別の学会で発表するなどして、さらなる研究の質の向上を目指す予定である。具体的には、2016年7月31日から8月3日に開催されるAsia-Pacific Risk and Insurance Association 2016 Annual Conferenceにて、本研究にかかる報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主たる理由としては、コンピュータ-機器にかかる買い替え等を要しなかったことなどがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年7月31日から8月3日に中国で開催されるAsia-Pacific Risk and Insurance Association 2016 Annual Conferenceにて研究報告することが確定していることから、当該研究発表に伴う旅費等として使用する計画である(すでにaccept済みである)。
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