本研究では、有効性の高いブランド・リレーションシップ戦略のあり方を解明することを目的として活動を行なった。具体的には、消費者はどのようなブランド経験をすることによって、自己とブランドとの間に心理的な結びつきを感じるようになるかを明らかにすることで、ブランド・リレーションシップ戦略の基盤となる枠組みの構築を目指した。 2015年:研究活動の1年目は、研究代表者が保有する過去のサーベイデータと既存研究にもとづき、強固なブランド・リレーションシップを形成しているケースを検討した。またこのプロセスを経て選出された「リコーGR」ブランドについて、開発者ならびにマーケティング担当者に対するヒアリングも行なった。 2016年:研究活動の2年目は、1年目の活動を継続するとともに、消費者のブランド経験がブランド・リレーションシップに及ぼす影響について検討を深めた。これによって、ブランド・レーションップの形成が2つの考え方(プロパティ型とパートナーシップ型)によって説明できることを指摘した。そして「ブランド・リレーションシップのプロパティー・パートナー・モデル」を構築し、2015年に収集したデータを用いてモデルの検証を行い、日本商業学会全国大会において報告した。 2017年:研究活動の3年目は、2年目の研究を論文化し「ブランド・リレーションシップのプロパティー・パートナー・モデル」として査読付き学会誌に発表した。またさらにこのモデルを自己の水準と組み合わせることで、消費者の抱くブランドとの心理的結びつきをより適切に説明できると考え、その作業に取り組んだ。 2018年:研究活動の4年目は、3年目の作業を継続して行なった。そしてその成果を「自己とブランドの結びつきの諸側面」という論文にまとめ、発表した。
|