研究課題/領域番号 |
15K03733
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研究機関 | 多摩美術大学 |
研究代表者 |
佐藤 達郎 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (50611258)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | デジタルメディアの台頭 / ソーシャルメディアの台頭 / マスメディアの凋落 / 広告主側のマネジメント / クリエイティブ・マネジメント / 広告クリエイティブの変化 / 広告主側の日欧米比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、広告主側によるクリエイティブ・マネジメントに着目し、欧米と日本の比較を通じて、その変化と現状、広告クリエイティブの在り方の違いを明らかにし、激変する環境に対応可能なクリエイティブ・マネジメントのモデル形成を行うことを目的とし、以下の3点を基本方針とする。①広告クリエイティブの変化に関する事例研究、②欧米中心に、広告主側のクリエイティブ・マネジメントの在り方に関する調査、③これら①②との比較において、日本の広告主企業のマネジメントの在り方の現状に関する実態調査。 当該年度に実施した研究業績は、第一に、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルの現地調査(2016年6月)である。上記①の事例研究を行うとともに、広告主CMOによる複数のセミナーに参加し、上記②に関する情報を収集した。その内容については複数の記事として掲載、また日本広報学会研究発表全国大会(10月29日・北海道大学)にて発表を行った。第二に、前年度に行った②についての定性調査(WOMMA SummitとWFA Global Marketer Weekにて)結果の分析考察を行い、その内容について、中間報告として日本広告学会関西部会(5月28日・近畿大学)において発表を行った。また関連した内容を『日経広告研究所報287号』(6月1日発行)で論文として掲載した。第三に、上記の定性調査の分析考察から導き出された仮説に基づき、次年度に行う予定の日本の広告主に対する定量調査(アンケート調査)に向けた調査設計などの準備を行った。当該定量調査は、日本アドバタイザーズ協会の協力を得て2017年7月頃を目途に実施できる予定である。 主に上記1回の現地調査と文献調査、前年度に行った定性調査の分析考察とその中間発表、定性調査から得られた仮説に基づいた定量調査の調査設計により、一定の成果が得られたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きく、以下3つの方向で、調査が進捗している。(1)「最新の欧米広告コミュニケーション事例」と「欧米の広告主側のキーマンがクリエイティブ・マネジメントについて語るセミナー」を現地調査し、本研究のバックボーンとなる広告コミュニケーションの変化と広告主の意識の変化について、幾つかの重要な知見を得た。(2)2015年度に行った定性調査(計12名へのインタビュー調査)の分析考察を行い、中間発表として学会発表等も行った。(3)2017年度の定量調査(アンケート調査)に向けて、仮説導出と調査設計を行った。 (1)については、2016年6月のカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルの現地調査で、紹介された多くの最新事例と、複数の広告主側キーマンによるセミナーから情報収集、分析を行った。(2)については、2015年度に行った定性調査(WOMMA SummitとWFA Global Marketer Weekにて)について分析考察を行った。(3)については、(2)の結果を基に仮説導出と調査設計を行った。 (1)については、2016年8月1日発行「ブレーン9月号」の『クライアント3.0 ~カンヌでCMO達が語ったこと~』、2016年8月1日「広研レポートOnline」の『佐藤達郎多摩美術大教授の見た“カンヌライオンズ2016”』という記事で発表、また、日本広報学会全国大会(10月29日・北海道大学)において学会発表を行った。(2)については、中間報告として、日本広告学会関西部会(5月28日・近畿大学)において学会発表を行い、また関連した内容を『日経広告研究所報287号』(6月1日発行)で論文として掲載した。(3)については、日本アドバタイザーズ協会に要請・調整を行い、2017年7月頃のアンケート調査実施の実現にこぎつけた。 以上の状況から、研究の目的は、現在まで概ね良好に達成されていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度はまず、それまでに行った調査・研究から導出した仮説に基づいて行った調査設計の精緻化を行い、日本アドバタイザーズ協会の協力を得て、7月頃を目途に日本の広告主を対象にした定量調査(アンケート調査)を行う予定である。その後、調査結果の分析考察を行い、秋の学会全国大会で発表したいと考えている。 並行してカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(2017年6月開催)での現地調査も行い、本研究全体のバックボーンとなる知見の深化を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度は、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル現地調査を行い、日本広告学会関西支部2015学会年度第3回関西部会(近畿大学/大阪府・東大阪市)と日本広報学会第22回研究発表全国大会(北海道大学/北海道・札幌市)で研究発表を行ったが、それ以外の研究活動は、主に、前年度の定性調査の分析考察と仮説導入、次年度の定量調査の調査設計等となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度の使用計画:日本の広告主に対する定量調査(アンケート調査)費用、フランス・カンヌにおける現地調査等に使用。
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