研究課題/領域番号 |
15K03737
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
若林 敬造 日本大学, 生産工学部, 教授 (90201144)
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研究分担者 |
佐藤 馨一 北海商科大学, 商学部, 教授 (00091455) [辞退]
鈴木 邦成 日本大学, 生産工学部, 教授 (20440448)
石原 良晃 大島商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (60232336)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ビッグデータ / ロジスティクスシステム / サプライチェーンマネジメント / 帰り荷確保 / 拠点整備 |
研究実績の概要 |
平成27年度には配送エリアの拡大とそれに伴う拠点整備についての検証を行った。広域化に伴う拠点集約による効率化に関するデータ分析, 拠点整備の有効性の明確化, 利益向上条件の明確化, 環境負荷低減を配慮した拠点整備案の提案を基本研究項目とした。 すなわち日用品業界の環境負荷の低減にむけたロジスティクスシステムの高度化について, ビッグデータを活用して日用品の消費地への輸送方法における工場, 物流センター, 店舗間での環境負荷低減を考慮した効率的なロジスティクス・モデルの構築を行った。 日用品の資源再生化にむけたロジスティクスシステムとして発荷地(物流センター) → 着荷地(店舗)のルートを1つの個別輸送活動としてとらえ, 発荷地(物流センター) → 着荷地(店舗)個別輸送の環境負荷低減・輸送効率向上を目指す手段と位置付け,日用品の配送エリアの拡大に伴う配送システムについて, 一時保管的な拠点整備を設けた場合の効果を明らかにした。 配送システムにおいては, 環境負荷低減を配慮した配送システムをモデル化した上で運送事業者がルート選択する際の意思決定基準を環境負荷低減・輸送効率向上の両面からの考察を進め,日用品のロジスティクスシステムの定義, 特徴及び日用品の配送システムにおける帰り荷の確保にあたっての課題を明らかにした。これまで帰り荷の確保が十分に行われていなかった状況を踏まえ、出荷情報、販売情報、顧客情報などについて情報基盤ネットワークを構築し、帰り荷情報の可視化を徹底させれば環境負荷の低減をより一層推進できるのではないかという仮説を立て, シミュレーションをとおして数値解析を行い, 拠点整備のあり方について, その効果を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度研究計画では, ロジスティクスについての定義, 先行研究についての文献研究を行ったうえで, 以下に示す4つの基本研究項目について進めることとした。①日用品業界における中継輸送の増加によるネットワークの再編の検討(日用品業界における中継輸送の増加を念頭に置きながら,輸送ネットワークの再編について物流事業者,日用品業界荷主企業からヒヤリング調査,アンケート調査を行う)。②ビッグデータの活用を念頭に置いた帰り荷確保の検討(日用品業界における業界の情報基盤ネットワークを活用しつつビッグデータの活用を図ることで帰り荷の確保を効率的に行う方策を検討する)。③利益向上条件の明確化と環境負荷低減の両立(輸送ネットワーク整備に伴う物流活動により増加する利益を把握する指標を検討し, 構築したモデル上でエリア拡大により利益が向上する条件を明確化する)。④環境負荷の低減考慮したシミュレーションモデルの解析と検証(①から③までの研究成果と環境負荷低減の相関関係を検証し, コストメリット, スケールメリットと環境負荷の低減の両立を可能とする現実的な方策を明らかにし, 論文発表・学会誌掲載をとおして提案する)。上記4項目のなかで関連業界へのヒヤリング調査やアンケート調査に時間がかかってはいるが概ね順調に展開している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度研究計画は, 次に示す5つの基本研究項目から進める予定である。①ロジスティクス効率化のためのモデル化(前年度に提案したネットワーク整備による効率化策に基づく改善案に加え, 帰り荷確保における店舗作業時間の短縮, およびモーダルシフト導入の効果検証を目的として, コンピュータシミューションを実施するため, 実態に合わせたシミュレーション規模や条件の決定, 並びに定式化の研究を行う)。②店舗作業時間短縮のプロセスの明確化(店舗作業時間短縮のプロセスを明確化し, 改善案の提案につなげる。あわせて店舗作業時間短縮のための指標を作成する)。③モーダルシフト導入プロセスの明確化(日用品の納入プロセスを明確化し, 店舗作業時間短縮が可能となる改善策を明示する)。④環境負荷低減を考慮したシミュレーションモデル解析とモデルの解析と検証(提案した店舗作業の改善策及びモーダルシフトの導入による輸配送システムの効率化と環境負荷低減を考慮したモデルを検証する。 実際の回収実態に合わせたシミュレーション規模や条件によって定式化する。実際にシミュレーションを行い, その数値結果を解析し, 改善策の効果を検証する)。なお,当該シミュレーションの規模や条件は, 関連統計データに基づき客観的に確定することが望ましいが, これらのデータが入手困難な場合には, 日用品関連の業界関係者,すなわち, 収集運搬事業者, 中間処理事業者, 並びに排出事業者の状況に合わせてヒヤリング調査, 実地調査に加え, 推定値を用いて, 確定することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ICLS(2016)がSepuluh Nopember Institute of Technology in Indonesia,Baliで2016年7月25日から28日に開催される。研究成果をこのICLS(2016)で発表するための費用を当年度予算に組み入れていたが,当初予定より費用がかさんでしまい, これを補正するため。
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次年度使用額の使用計画 |
ICLS(2016)がSepuluh Nopember Institute of Technology in Indonesia,Baliで2016年7月25日から28日に開催される。成田からインドネシアまでの経費が当初予定していた以上にかさむため, 繰り越した費用をこの不足分に充当する。
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