研究課題/領域番号 |
15K03739
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
李 瑞雪 法政大学, 経営学部, 教授 (20377237)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ロジスティクス・クラスター / 物流集積 / 物流サービス / イノベーション / 輸送ノード |
研究実績の概要 |
平成27年度において、当初立てた研究計画に基づいて、沖縄国際物流ハブ、福岡・北九州の物流集積、シンガポールの物流集積、中国の上海、成都、遂寧、臨沂などの地域における物流集積に対して現地調査を実施し、調査ノートの作成とデータの整理に着手した。こうした作業を通じて、集積形成のための政策立案と展開および入居企業の立地選択、業務拡大、新サービスのイノベーションなどに影響を及ぼす共通要素の抽出に取り組んでいる。 また、これらのパイロッド調査による発見事実に基づいて、ロジスティクス・クラスター形成の規定要因が3つの組み合わせにあるという帰納的推論を示している。第1は、地域や産業界の物流需要による中核的輸送サービス創設への要請というプルの力と、政府によるノード整備などのインフラ投資や制度整備というプッシュの力との組み合わせである。これによって、ロジスティクス・クラスターの物的基盤、制度的基盤、ビジネス基盤が形成する。 第2は、ベースカーゴを提供するコア・ユーザーと多数の中小零細ユーザーの組み合わせである。この種の組み合わせによって、中核的輸送サービスが定着し、中核サービスの安定化と質的向上によってさらに多くのユーザーを吸引する。第3は、ロジスティクス・サービスの互換性・標準化とロジスティクス・サービスの多様性との組み合わせで、これによってクラスターの柔軟性の形成と健全な発展がもたらされ、「集積が集積を呼ぶ」という好循環が生まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度では、複数の物流集積地に対する現地調査の実施ができ、調査内容の分析と取りまとめを順調に進めた。2本の研究ノートは現在執筆中で、2006年前半に刊行する予定である。また、各物流集積地に共通する要素の抽出作業にも取り組んでおり、この作業が終了次第、アンケート調査の質問票を設計する予定である。このように、概ね当初の計画に沿って順調に調査研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度では、まず昨年度に実施した現地調査を踏まえた調査ノートを完成し刊行する。同時にアンケート調査の質問票を設計して、日本、中国、韓国、米国、シンガポールで複数の物流集積地の入居企業を対象にアンケート・サーベイを実施すべく、準備を進めていく。このアンケート調査は現地の大学の物流研究者と共同で実施する予定だ。アンケート・サーベイの結果を解析し、昨年度の現地調査からの発見事実とつき合わせながら、ロジスティクス・クラスターの形成要因の解明に努めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度では、日本および海外で物流集積地の企業を対象にアンケート・サーベイを海外の研究者と共同で実施する計画である。そのために、打ち合わせのための旅費や調査実施の費用を含めて多額な費用を必要とする。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年5月に、韓国の釜山にある韓国海洋大学を訪問し、同大学の研究者と調査実施のための打ち合わせを行う予定だ。また、釜山港を中核とするロジスティクス・クラスターの実態調査も行う。8月にシンガポール国立大学を訪問して、同大学の研究者と調査実施の打ち合わせを行う予定である。
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