研究課題/領域番号 |
15K03746
|
研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 志乃 関東学院大学, 経営学部, 准教授 (20409626)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 消費者知識 / 投影法 |
研究実績の概要 |
本研究は、消費者知識の有向ネットワーク分析と定性的手法を併用して「ブランドのコモディティ化を防ぐためイノベーション(ブランドの新しさや違い)を消費者に知覚させ、ブランド想起を獲得するにはどのような消費者知識を構築すべきか」という問題について、検討するものである。成熟市場ではカテゴリを代表するようなキーワードは主要ブランド間で激しく競合しているため、後発がそこからブランド想起を獲得することは難しい。よって、競合の“手垢”のついていない新ワード・コンセプトを探索し、自ブランドの知識に組み込むことが必要になる。商品カテゴリやブランドに関する既存の知識からの言語連想からは新しい軸を探すことは難しい。消費者自身が意識していない記憶の部分からそのヒントを探る必要がある。本研究ではイメージやメタファーを使った投影法などの定性的な手法の併用を試みた。投影法はプロービングや解釈が重要であり、経験豊富な人材が必要となる。18年度は定性調査の専門家の協力のもとで特定の商品カテゴリを想定したうえでそれに関する深層ニーズを探る手法について検討した。 1)投影法を用いた調査①(予備的調査)を実施:2018年9月に、各種投影法を用いて40代女性の生活意識を探るパーソナルインタビューを実施した。この調査において、画像を刺激材料として消費者の反応を引き出す方法やプラネット・テクニック、人物投影法を中心について検討した。 2)投影法を用いた調査②(本調査)の企画準備:予備的調査で得られた知見に基づいて、特定の商品カテゴリ、ブランドに関連する新たな価値を探ることを目的としてパーソナルインタビュー調査の実施計画を立てた(調査の実施は年度をまたいで、19年4月に行った)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インタビュー調査を実施し(18年9月、19年4月)、19年5月現在結果を分析中である。
|
今後の研究の推進方策 |
2回にわたる定性調査結果(1回目の調査:40代女性の生活意識、2回目の調査:居心地の良い空間)から、深層にあるニーズや価値を探る手法を整理する。 また、定性調査で得られた価値やニーズを活用して、既存のブランド知識において新たな文脈を構築する可能性について検討する。適宜、定量調査を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
18年度中に実施予定であった調査の一部を、19年度にずらして実施するため。 18年度に実施を予定していたパーソナルインタビュー調査は、、投影法に習熟した定性調査の専門家の協力が必要であった(インタビューの専門家のなかでも投影法の経験が豊富な人は少なく、調査機関にそのまま委託発注できる類のものではなかった)。各方面にあたって経験豊富な専門家を探し、承諾にこぎつけるまでに時間を要した。また、その後も十分に研究目的を共有して協同でじっくり研究課題に取り組む必要があった。予備的な調査を18年9月に実施し、その結果を踏まえて本調査を企画したが、18年度内ではスケジュール調整ができず、本調査の実施は19年度にずれ込んだ。
|