先行研究と定性調査から、カスタマー・アドボカシー志向の構成要素、先行要因、成果要因を抽出し、質的研究支援ソフト「MAXQDA」を用いて、要素の緻密化を行った。この質的調査の成果を基に設計した調査票を作成し、事前の定量調査を行った。ここから得たデータを用いて統計分析を行い、調査設計の見直しを行った。 次に、主な顧客が一般消費者のB2C企業群と主な顧客が企業であるB2B企業群の二つの母集団に分けてサンプル抽出を行い、定量調査を行った。異なる母集団における不変性と相違を確認し汎用性の高い尺度の開発とモデルの評価を行った。具体的には、異なる集団の間で因子モデル構造に対する不変性の確認を、「配置不変性」と「測定不変性」の二段階で行う。配置不変性の確認とは、異なる母集団で各因子を測定する測定変数が等しいか確認することである。測定不変性の確認とは、異なる母集団間で各因子を測定する因子パターンが全て等しいかを確認することである(豊田 2009)。 最後に、同じ調査要領で時期をずらして再度定量調査を行った。異なる顧客セグメントおよび異なる時期で実施した定量調査の結果について、定量分析を行うことにより、尺度とモデルの頑健性の確認を試みている。データ分析については、IBM SPSSおよびAMOSを用いた。 これまでの調査結果と分析結果に関する成果の一部について、2017年6月18日に滋賀大学で開催された2017年度組織学会研究発表大会において発表を行った。
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