研究課題/領域番号 |
15K03751
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
藤岡 里圭 関西大学, 商学部, 教授 (00326480)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 百貨店 / アパレル / グローバル / 既製服 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アパレル産業のグローバル化に伴って、日本の百貨店の競争構造がどのように変化しているのかを明らかにすることである。 平成27年度は、日本の百貨店がアパレル企業とともに、第二次世界大戦後とりわけ高度成長期、どのように競争優位を構築してきたのかについて、以下のような基礎的な分析を行った。 ①百貨店研究およびアパレル産業研究の現在の状況を正確に把握するため、文献の整理を行った。その結果、繊維産業に関しては膨大な研究蓄積があるのに対し、アパレル産業については本格的な理論研究がほとんど行われていないということが判明した。そこで、ブランド論や戦略論などの周辺領域の研究などへも対象を広げ、考察した。 ②商業統計、工業統計、家計調査などの政府統計を整理するとともに、百貨店協会等の業界団体が公表しているデータを整理した。 ③Centre for the History of Retailing and Distribution Conferenceにおいて、本研究の問題意識を述べ、文献研究の結果を中間報告したところ、参加者から非常に有益なアドバイスを受けることができた。英国やフランスなどの既製服の産業化に関する大型研究プロジェクトが欧州で進行していること、そのプロジェクトの研究成果と日本の既製服産業を比較検討することが可能であることを確認できた。 ④日本のアパレル産業の中で、百貨店アパレルが困難に直面する一方で、ジーンズやデニム産業の中には国際的な競争力を維持している企業のあることが、インタビュー調査や既存研究から明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目的は、百貨店がどのようにアパレル企業とともに競争優位を構築してきたのか、文献および資料から歴史的に解明することであった。 この研究目的を実行するため、文献の整理と分析、両産業に関するデータの収集は、当初の予定通り進めることができた。しかし、当初計画していた日本企業での資料収集や、海外大学の図書館アーカイブズに所蔵されている英米百貨店の史資料調査は、日程調整が困難であり実施することができなかった。しかし、海外での学会やワークショップで報告したことにより、海外研究者との交流が生まれ、日本のデニム・ジーンズ産業の独自性について発見することができ、また、海外の最新研究や通常は公開されていない企業アーカイブズの存在について知ることができたのは、非常に大きな成果であり、次年度以降の研究に大いに役立つと考えている。 以上のことから、全体として研究はおおむね順調に進展していると言えよう。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、以下の要領で推進していきたい。 ①文献研究の充実を図る。平成27年度の文献研究が、産業全体の発展に重点を置いてきたのに対し、平成28年度の研究は個別企業の戦略についても深く検討していきたい。具体的には、日本の百貨店企業やアパレル企業、さらには最近大きな影響力を持つファストファッションの発展過程について検討する。 ②国内外のアーカイブズ等に所蔵されている史資料を収集することによって、アパレル企業の発展過程をより深く分析する。百貨店とともに商品の高級化を進めてきた日本のアパレル企業は、なぜ競争力を維持することができなかったのか、ファストファッションが連携する工場と高級化を推進してきた百貨店アパレルの工場がなぜ競合することになったのか、また、ファストファッションによる垂直連携の進展やサプライチェーンの構築について考察する。 ③海外の国際会議やワークショップで積極的に報告する機会を求め、海外の最新研究の成果を積極的に取り入れたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
外国出張に必要な経費が、為替変動により、計画時に想定していた金額より実際の支出額が少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、当初の予定通り、ノルウェーで開催される第20回European Business History Association年次大会・第1回世界経営史合同会議等で中間成果を報告するための旅費、および国内外で資料収集・調査するための旅費にその大部分を使用する予定である。また、平成27年度から繰り越す助成金は、平成28年度に予定しているアパレル企業および百貨店の図書購入に充当したい。
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