研究課題/領域番号 |
15K03756
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
山下 貴子 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (70309491)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 米国家計金融資産 / 金融マーケティング |
研究実績の概要 |
本年度は、まず投資環境の変化が家計の金融資産選択行動にどのような影響を与えるのか、米国の家計のデータを用いて分析を行った。米国家計の金融商品保有金額と保有率について、中村(1982,1989, 2005) による年齢×時代の交互作用効果を考慮したベイズ型コウホートモデルを用い、直近の2013年のデータまでアップデートして分析を行った。 コウホート分析では複数時点の継続的調査の結果をコウホート(世代)という視点で有機的に結びつけ、家計の世帯主年齢・世代、調査時点の時代という3つの要因による効果を分離し、それぞれの要因が金融資産選択や金融資産種類への選好の変化(マインドの変化)に及ぼす影響の大きさを比較、考察することを可能にする。3要因の影響の大きさを示す効果の変動幅のみならず、変動のプロフィールをも考察することにより、金融商品市場動向の予測にある程度適用できる。 実質資産残高全体でみるとリーマン・ショックを経て減少しているが、金融資産別に確認すると流動性資産は時代効果が大きくなり、年金準備金はリーマン・ショックの影響は時代効果に現れていないことが示された。また、年齢×時代の交互作用効果をみることで、調査年ごとのパラメータの微妙な差を確認することができた。 今後の課題として、リーマン・ショックといった突発的なインパクトのほかに金融環境要因や法整備の緩和、税制要因、世代構成、販売チャネルの多様化など時代効果に緩やかに影響を与える要因を識別し、日本の金融資産選択行動分析へのインプリケーションを探っていくことにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の家計の金融資産選択行動と比較を行うため、年齢×時代の交互作用効果を考慮したベイズ型コウホートモデルを用いて分析を行い、新たな知見を得た。成果をディスカッションペーパーにまとめて発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、金融リテラシーを考慮した日米の家計の金融資産選択行動について研究を進める。今年度は、4月より横浜銀行をはじめとする地方銀行グループと顧客セグメント別の金融資産選択行動を分析するための共同研究をすでに開始し、9月に中間発表を行う。 実証分析を中心に、実務と研究を架橋できる成果を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
日米家計の金融資産選択行動の比較を行うことにしていたが、先に米国のデータ分析を行ったため、日本のデータ(日経NEEDS金融行動調査)の購入は次年度にまわし、分析を延期することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り日経NEEDS金融行動調査のデータ購入に充てる。
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