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2017 年度 実施状況報告書

会計基準のリスク志向性モデルの構築:設定主体のリスク志向性に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K03759
研究機関北海道大学

研究代表者

久保 淳司  北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (70322790)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード将来支出 / SFAS143 / SFAS146
研究実績の概要

今年度は,アメリカの会計基準設定主体(FASB)のリスク志向性が会計基準に及ぼす影響を探るために,主として,SFAS143とSFAS146における会計処理方法の比較検討を行い,その統合を行った。
これらの結果,今年度には次の3つの成果を得た。
第1に,SFAS143とSFAS146の相違は,もっぱら対象とする債務・負債の解消までに見込まれる期間の長短に応じていることを明らかにした。SFAS143の対象である資産除去債務は,もとは30年から50年のスパンが想定された長期の債務であるのに対して,SFAS146の対象であるリストラクチャリング負債は1年内の遂行が予定される短期の負債である。このような対象債務の相違のみによって,SFAS143とSFAS146における会計処理とくに借方相手勘定が相違することを明らかにした。
第2に,SFAS143が借方相手勘定を資産とする(資産負債の両建処理)ことによって,期間損益計算への影響を与えずに貸借対照表の情報力を向上させるという今日の情報需要に応えた新しい会計方法になっているのに対して,SFAS146では借方相手勘定を期間費用とすることによって,実質的に未払金の会計と同種の伝統的な会計処理が採用されていることを明らかにした。
第3に,SFAS143とSFAS146の相違はもっぱら貸借対照表における表示の観点に基づくものでしかなく,その基盤としての会計処理は同構造のものであり,SFAS143型として一括りになるできるものであることを明らかにした。これまでの研究の方針に誤りがないことが確認され,今後の検討の橋頭堡となることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,会計基準設定主体として,企業会計基準委員会(ASBJ),国際会計基準審議会(IASB)およびアメリカ財務会計基準審議会(FASB)を対象としている。本年度の研究によって,FASBのリスク志向性をおおよそ明らかにできた。同時に,ASBJやIASBのリスク志向性は,FASBの志向性とは相当に異なるとの示唆が得られた。
各会計基準設定主体のリスク志向性を明らかにするという本研究の目的上,本年度に得られた知見は重要な内容であると考えられるため,4年間の研究計画の3年目の進捗として,おおむね順調に進展しているものと判断している。

今後の研究の推進方策

本年度の研究によって明らかになった,FASBのリスク志向性を基礎として,ASBJとIASBについての検討を行う。また,この検討を確実なものにするために,FASBのリスク志向性について,さらなる深化を図るよう検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

平成29年度分は,ほぼ当初の計画通りの金額を使用したが,平成28年度に節約した分の金額が残ったため,次年度使用額が生じた。参加予定の学会等が当初の想定よりも遠隔地で開催されるため,その差額に充てる予定である。

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公開日: 2018-12-17  

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