研究課題/領域番号 |
15K03763
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木村 史彦 東北大学, 経済学研究科, 教授 (10329691)
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研究分担者 |
榎本 正博 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70313921)
山口 朋泰 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (50613626)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際比較研究 / 利益マネジメント / 利益の質 / 実体的利益マネジメント / 会計的利益マネジメント / 制度的環境 / 金融発展 / 投資家保護 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,各国の利益マネジメント (earnings management) に対するコーポレートガバナンスの影響を,各国の制度的要因との関わりのもとで解明することにあった.本研究では,研究期間を通じ,日本ではあまり取り組まれていない国際財務データベースを用いた国際比較研究に取り組み,3篇の海外査読誌を含む11篇の論文を公表することができた. 本研究で解明された点として,各国の法制度と利益マネジメントと関係が挙げられる.先行研究では投資家保護法制が強化されるほど,会計的な利益マネジメントが抑制されることが見出されてきたが,他方で,実体的な利益マネジメント(企業活動を変更することで利益を操作するプロセス)との関連については解明されていなかった.我々は会計的利益マネジメントと実体的利益マネジメントの両面からの分析を実施し,それらの間の補完関係があることを見出した.さらに,各国の金融発展のプロセスと利益マネジメントを中心とした利益の質との関係についての研究を進めた.我々は会計情報が金融システムの最も重要なインフラの一つであることを前提とし,金融システムが発展した国ほどより質の高い会計情報に対する需要が高まる結果,会計情報の質が高い傾向にあることを明らかにした. ただし,これらの研究では,制度的環境が会計情報の質に影響を及ぼすプロセスにおいてコーポレートガバナンスの影響が大きいことを想定しているが,そのことを直接的に析出することができず,今後の課題とせざるを得なかった. 他方で,国際比較研究は世界各国の研究者によって取り組まれており,ある意味でグローバルな研究市場での競争に直面しているといえるが,こうした中で,我々の研究が海外査読誌に掲載されたことは,日本の会計研究のプレゼンスを高める上で一定の役割を果たしたと考える.
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