研究課題/領域番号 |
15K03764
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
野間 幹晴 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 准教授 (80347286)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 退職給付 / 内部負債 / 研究開発活動 / 経営者予想 / アナリスト予想 / 価値関連性 / 予測精度 |
研究実績の概要 |
2015年度は次の研究を行った。 第1に、退職給付に係る負債と研究開発との関係を分析し、退職給付に係る負債が大きいほどR&D費用を削減する傾向があることを明らかにした。とりわけ、R&D費用計上前経常利益が前期のR&D費用よりも小さいサンプルで、こうした傾向が確認された。すなわち、未積立の企業年金が大きいほど、R&D投資を削減することを通じて、損失を回避しようとするのである。 第2に、先行研究でR&Dとの関連が指摘されている業績予想に関連して、経営者予想とアナリスト予想を予測精度と価値関連性の観点から比較した。分析の結果、小規模企業では経営者予想の価値関連性が高いのに対して、大規模企業ではアナリスト予想の価値関連性が高いことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると考えるのは、次の理由による。2015年度には日本会計研究学会、Australasian Finance and Banking Conferenceで研究発表を行い、2016年度にも同じく日本会計研究学会で発表することが確定しているからである。また、当初は①リスク・テイクをめぐる実証研究のサーベイ、②R&D投資をめぐる実証研究のサーベイ、③未積立の退職給付債務とリスク・テイクおよびR&D投資との関連をめぐる実証研究を行うことを予定した。このうち、①と②は予定通りに実施し、③については損失の回避の観点から実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度に日本会計研究学会で発表した論文を雑誌に掲載する予定であり、2016年度にはアメリカ会計学会と日本会計研究学会で研究を発表し、論文を公表する計画である。日本会計研究学会では、リスクテイクに影響を与えることが確認されている未積立の年金債務と配当政策について研究発表を行う予定である。またアメリカ会計学会では、同じくリスクテイクと関連がある業績予想についての実証研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
翻訳に対する人件費・謝金が事前に予想していたよりも少額であったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の人件費・謝金として使用する予定である。
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