研究実績の概要 |
会計史研究領域においては,英語を母語としない研究者による研究が増加しつつある。また,会計史に対する関心の高まりは研究者間だけに留まらず,その他の人々にも広まりつつあり,ジェイコブ・ソール『帳簿の世界史』(Soll, J. The Reckoning: Financial Accountability and the Rise and Fall of Nations, New York, 2014)など,会計史の啓蒙書の出現とベストセラー化はその象徴的な出来事と言えよう。 このような会計史研究に対する社会的関心の高まりを背景として,本研究の目的は,わが国で蓄積されてきた過去の会計史研究をデータベース化し,それを基礎として会計史研究に関する国際比較研究,すなわちメタレビューを行い,それを広く世界に提示することである。今年度は,平成27年度から29年度の3か年の予定で始まった本研究の最終年度に当たり,前年度に引き続き,会計史研究の源流に位置する会計人である海野力太郎と,わが国最初の職業会計人とされ,海野と同様にわが国会計史研究の嚆矢たる東セキ五郎の研究を行い学術論文として公刊した。また,これまで継続してきた日本の会計史研究の進展に関する刊行パターン(publishing patterns)の研究という研究の文脈から位置づける研究を,より客観性あるものとし,さらに本研究の成果として今後の研究に資するために,すでにデータベース化と分析を行った『會計』誌とは別に,これと同様に戦前期からの継続刊行されてきた『産業経理』誌のデータベースの構築について作業を継続し,現在刊行に向けて最終作業を行っている。
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