研究課題/領域番号 |
15K03773
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
山田 恵一 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (80341741)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ファイナンス・リース取引 / 解約不能のオペレーティング・リース取引 / 不動産リース取引 / 借地借家法 / 借地権 |
研究実績の概要 |
国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、現行のリース会計基準の財務報告上の問題点を改善するために、共同して検討を行い、2016年1月13日に国際会計基準審議会(IASB)がIFRS第16号「リース」を公表した。これにおいては、今までと異なり、リース取引の借手は、ほとんどすべてのリース取引におけるリース財産を資産として貸借対照表に認識することになる。この改正の中心となるのは、ファイナンス・リース取引のうち解約不能条件を満たすが、フルペイアウト条件を満たさない、いわゆる解約不能のオペレーティング・リース取引である。この取引は国際会計基準、米国基準および日本基準においても規定が整備されていない分野であったが、国際会計基準及び米国基準において、ようやく基準が整備された。 日本においては、既に2010年に公開草案「リース」が公表されており、IFRS第16号「リース」の公表に続き、新たなリース会計基準がすぐに公表されると思われたが、2016年度中に公表されることは無かった。 アンケート調査は簡単にできることではないので、新たな日本のリース会計基準の発表までアンケート調査を延期した。また、それを十分に検討してからでないと仮説の設定、及びアンケート調査票の作成ができないからである。 それらの作業ができない代わりに、本年度は、研究方法論なども含めて、リース取引、関連する基礎概念、会計理論、法人税法に至るまで、入念な文献研究などを行った。実証研究の成否はアンケート調査票の出来不出来に大きく左右されるからである。 文献研究などを通して、特に、借地権は、底地権との交換の圧縮記帳の対象となることがあり、このことから派生して、圧縮記帳について深く検討できたことは大きな収穫であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以上でも既に述べているが、2016年1月13日に国際会計基準審議会(IASB)がIFRS第16号「リース」を公表した。これを受けて、すでに2010年に公開草案「リース」が公表されているため、日本において、新たなリース会計基準がすぐに公表されると思われたが、2016年度中に公表されることは無かった。 それを十分に検討してからでないと仮説の設定、及びアンケート調査票の作成ができなかったため、アンケート調査は来年度に行うこととした。本年度は、研究方法論なども含めて、リース取引、関連する基礎概念、会計理論、法人税法に至るまで、入念な文献研究などを行った。 実証研究の成否はアンケート調査法の出来不出来に大きく左右されるため入念な準備が必要である。したがって、様々な文献研究などを行い、交換の圧縮記帳も関連して検討できたことは有意義であったと思う。 少し心配しているのは、日本のリース会計基準が、本年度早々に公開されないようであれば、日本の新リース会計基準は盛り込まないでアンケート設計をしなければならない点である。 アンケート調査に関しては、当初、すべてを自分で行う予定であったが、野村総研を利用することとした。これにより、迅速なアンケート調査票の発送、回収、統計処理ができるようになるため、遅れを取り戻すことができるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
不動産リース取引においても、本研究の議論の中心となるのは、ファイナンス・リース取引のうち解約不能条件を満たすが、フルペイアウト条件を満たさない、いわゆる解約不能のオペレーティング・リース取引である。この取引は国際会計基準、米国基準および日本基準においても規定が整備されていない分野であったが、国際会計基準において、ようやく基準が整備されたので、それとの検討が不可欠であり、これを進める。 これに対して、日本では、まだリース取引に関する新会計基準を公表していないが、国際会計基準とのコンバージェンスの点から、概ね国際会計基準と同様に今までと異なり、リース取引の借手は、ほとんどすべてのリース取引におけるリース財産を資産として貸借対照表に認識することが予想される。 その他、リース取引を利用した様々な手法が、確定決算主義を採る法人税法と密接に関連しているため、引き続き、税務処理についても検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度にアンケート調査を行うためである。日本においては、既に2010年に公開草案「リース」が公表されており、IFRS第16号「リース」の公表に続き、新たなリース会計基準がすぐに公表されると思われた。この公表のあとすぐにアンケート調査を行う予定であったが、2016年度中に公表されることは無かったため、アンケート調査を行うことができなかった。 アンケート調査は簡単にできることではないので、新たな日本のリース会計基準の公表までアンケート調査を延期した。また、それを十分に検討してからでないと仮説の設定、及びアンケート調査票の作成ができないからである。
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次年度使用額の使用計画 |
本来、自分でアンケート調査票の発送、回収、統計処理を行う予定であったものを、遅れを取り戻すために野村総研に依頼します。自分で全て行うのに比べて、割高になるため、資金を次期に繰り延べる必要が生じました。
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