研究課題/領域番号 |
15K03776
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
上野 雄史 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (40405147)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | のれん / 減損 / 非償却・減損アプローチ |
研究実績の概要 |
平成27年度においては、日米欧のデータを用いて、非償却・減損アプローチにおける「のれん」の実態を検証した。具体的には、ダウ・ジョーンズ工業株30種平均(Dow)、FTSE100種総合株価指数(FTSE)、日経平均株価225社(日経平均)のうち、2015年10月末時点で時価総額が上位30社を分析対象とし、データは2006年以降(9年分)のアニュアルリポートを用いた。分析の結果、企業が巨額の減損を計上しているケースは、業績の極端な悪化、株価の低迷、もしくは買収企業の不正会計の発覚といった事態が生じた場合であった。業績が比較的好調の中で、個別のレポーティング・ユニットの業績不振を理由に、巨額の減損を計上したのはMicrosoftだけであった。減損の判断は、各レポーティング・ユニットあるいは資金生成単位で行われなければならない。しかしながら、自社の業績が全体的に上昇している状況において、企業経営者は「のれん」の減損の必要がないと判定している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度においては、「のれん」の減損状況について大まかな調査を行うことが出来た。また、当初の研究計画で予想されている通り、『のれんの計上額増加は、企業経営者の意図的な減損損失の回避によるものではないか』ということが限定された範囲ではあるが、実証されたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、減損回避を行っていることが疑われる企業のセグメントの業績について検証し、さらに企業の減損行動が、国の規制当局によって変わりうるのかどうかを検証する予定である。特にオーストラリアにおいては、企業の減損判断について、厳しい姿勢を規制当局が打ち出したことによって、減損数が増加する傾向にあることが、監査法人によるレポートで紹介されていた。実際の企業のデータに基づき、このことを確かめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費について若干の差額(28,361円)が生じた。これは当初の予定と比べて物品の購入が少なかった等によって生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
差額は少額のため、研究計画に大きな変更はない。今年度以降に使用していくつもりである。
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