研究課題
平成28年度においては平成27年度に行った「のれん」の減損実態に関して引き続き調査を行った。「のれん」は現在の会計基準設定における議論の中で、ホットイッシュ―であり、研究も盛んにおこなわれている分野である。平成28年度、注力したのは前回検証した海外比較の分析の見直しと新規ケースの分析である。ソフトバンクがARM社を買収するなど、わが国におけるM&Aの件数および金額は増加傾向にある。一方で、東芝の事例でも分かるように、M&A後に予想していたシナジー効果が発現できず、のれんを減損させてしまうケースも多くみられるようになった。平成28年度においては、いくつかの新規事例を通じて、「のれん」減損実態の調査を行い、論文、書籍にまとめた。論文(海外プロシーディングス)としては、the 1st international conference of Economics, Business and Accountingのカンファレス内で報告し、今後の研究改善について、Macquarie大学のChris Patelから、ケースではなくデータをより多く集めて実証分析することの必要性、検証方法の明確化、先行研究との差分の明確化などの指摘を受けた。また書籍については、「M&Aの会計戦略」というタイトルで執筆しており(現在校正中)、この中では新規のケースを取り上げるとともに、企業経営の観点から見て「のれん」の管理を如何にすべきかについて論じた。
2: おおむね順調に進展している
現時点で次のフェーズに進むための情報は集めており、本年度はそれをまとめて行きたいと考えている。
本年度においては新規のケースを集めるとともに、データをより広範囲で集め実証分析するためのデータ作成を目指す。ただし、M&Aは個別性が強く、実証分析に適さない可能性もある。その場合は、ケースでまとめることになるが、その際のメソッドについてもケースメソッドの関連文献を収集しており、他の研究者からの助力も得ながら実行する予定である。
研究計画上での支出の関係で、若干の差額が生じ、繰越額が生じた。
平成29年度は、この繰越額も含めて計画的に使用する予定である(少額のため、全体の計画に変更はない)。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
The Proceeding of the 1st international conference of Economics, Business and Accounting,(Padang,,Indonesia)
巻: なし ページ: 1-15