本研究の目的はのれんの減損判断の決定要因を日本、米国、欧州の事例に基づいて検証することにある。IFRS・SFASでは、『減損テストのみ』とするアプローチが採用されている。その結果、総資産額に占める「のれん」が40%を超える企業が出始め、IFRS任意適用を行っている日本企業においても同様の傾向がみられる。近年、海外大手企業(例えばGE)において、巨額の「のれん」減損を発生させるケースが出始めている。一方で日本のIFRS適用企業においてのれんの高額な減損は確認されていない。減損時期の問題を「企業内の内部統制」「監査」と捉えるならば、「なぜ減損しないのか」について適正な説明が求められるであろう。
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