研究実績の概要 |
平成27年度は、文献レビューを通じて、予算の弾力性や予測情報に関して、これまで明らかになってきた点を整理し、具体的な研究課題を導出するとともに、仮説や理論枠組みを検討していくことを目的としていた。先行研究は、実態調査、ローリング予測に関わる研究、予測の意義について議論した研究があり、これらの知見を整理するだけでなく、関連する領域として変動予算など予算の弾力性に関わる諸研究など、その他関連する予算管理研究、フィードフォワードに関する議論などもレビューの対象としていた。現在は、文献レビューを継続中の段階である。 なお、平成27年度中の本研究と関連する研究実績(共著)として、 Lee, K., N. Fukuda, and S. Matsugi. 2015. Mechanisms for lowering budgetary slack in Japanese companies. In Lean Management of Global Supply Chain, Japanese Management and International Studies Vol.12, edited by Yasuhiro Monden, Y. and Y. Minagawa, Singapore: World Scientific Publishing Co. Inc., pp.231-250. を公刊した。当該研究では、情報の非対称性、インセンティブ・スキーム、組織コミットメントの3モデレータ変数を、日本的予算管理を説明するフレームワークの中に織り込むことで、日本的予算管理における予算スラック軽減のメカニズムを「統合的に」説明した。当該研究における「期中統制」の段階については、本研究テーマとも関連しており、得られた結論を参考にしながら今回の文献レビューの結果を整理していきたい。
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