研究課題/領域番号 |
15K03779
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
小形 健介 長崎県立大学, 経営学部, 教授 (20347694)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 会計規制 / ASBJ / FASF / IASB / 会計の国際化 / 会計の政治化 / 会計基準設定プロセス |
研究実績の概要 |
本研究は,わが国においてグローバル化への対応と国内アクターからの要請のバランスを図るという,極めて難しい役割を担っている企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan: ASBJ)の基準開発活動が期間毎に大きく異なっていることに着目し,なぜこうした違いが生じているのか,また基準設定機関は各期においてどのような戦略を持っているのか,を明らかにすることを目的としている. 2015年度は,①本研究で用いるデータの整理,②本研究で用いる2種類の分析(テキスト分析と社会ネットワーク分析)に関する調査・研究,③本研究で提示する分析フレームワークの精緻化,そして④「ASBJの2001年~2004年までの消極的な基準開発活動」に対する検証,を予定していた. ②と③については,常にその動向を捉える必要があるが,概ね順調に進んでいる.また,①については,一部データ(ASBJの2005年以降におけるテキスト分析用データ)の整理が終了しておらず,2016年度に完成させる. ④については,ASBJ設立当初の基準設定活動が,国際化を指向したものでなく,国内の各種法律の変更に対応したガイドラインの作成を中心としていたものであった要因を,ASBJおよびその親組織である財務会計基準機構の構成員から成るネットワークの組織構造分析と,ASBJの活動を取り巻く中心的な利害関係者の言説をもとにした環境認識の分析から明らかにする研究を実施した.この成果については,2016年5月のMaastricht(Netherlands)におけるEAAおよび同年7月のSiena(Italy)におけるWorkshop on Accounting and Regulationにおいて報告する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」にて示したように,分析方法のフォローアップおよび分析視角の精緻化は,常にその動向を捉える必要があるが,概ね順調に進んでおり,また一部データの整理が終了していないが,2016年度には終了し,2016年度以降に実施する予定である,2005年以降のASBJの基準開発活動の研究に取り組むことができるため.
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今後の研究の推進方策 |
2016年度では,2015年度と同様,①データの収集・整理と,②テキスト分析および社会ネットワーク分析における分析手法の開発に取り組んだ上で,③「ASBJの2005年~2008年までの積極的・革新的な基準開発活動」に対する検証を実施する. さらに,2017年度では,①データの収集・整理を行い,②「ASBJの2009年~2013年までの保守的な基準開発活動」に対する検証を実施する.③各年度で実施した検証結果をもとに,本研究のまとめを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ整理(テキスト分析実施のための基礎データ作成)のために人件費・謝金を計上していたが,その事前準備に時間がかかったため,2016年度に先送りした.
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次年度使用額の使用計画 |
当該データ整理のための人件費・謝金(2015年度130,000円程度)を2016年度に実施する.
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