研究課題/領域番号 |
15K03793
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小宮山 賢 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00623117)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 特別目的事業体 / 開示対象特別目的会社 / 会社に準ずる事業体 / 有価証券報告書 |
研究実績の概要 |
本研究では、わが国特別目的事業体(SPE)の利用状況を広く調査・分類し、連結情報における会計処理と開示の状況を把握して、国際的な比較可能性への影響を検討することを目的としている。本年度は、最初の段階として、平成27年3月期までの数期間について有価証券報告書のデータベースを中心に、法形態別に、SPEの利用実態について把握する。平成25年4月1日以降は、適用指針第22号の改正により、連結の対象となるSPEが増加していると考えられる点に留意して分析を進めた。今後の分析の基礎とするため、海外における諸基準の制定・改訂の原因となった事件・背景と、改訂のねらいについての文献・情報の収集を進めた。 わが国では、特別目的事業体の概念が一様ではないこともあり、連結における取扱いも、さまざまな基準や適用指針等により、関連する取扱いが示されている状況にある。1995年改訂基準により連結財務諸表は、支配従属関係にある2以上の会社(会社に準ずる被支配事業体を含む。)とされ、さらに日本公認会計士協会の指針において、子会社又は関連会社の範囲に含められる「会社に準ずる事業体」として、特定目的会社、海外における同様の事業を営む事業体、パートナーシップその他これに準ずる事業体で営利を目的とする事業体が考えられるとされた。連結財務諸表原則の改訂当時は、「会社に準ずる事業体」は、金融資産等の流動化のための特別目的会社(狭義の「特別目的会社」ともいえる。)を念頭に置いていたものと考えられるが、それ以外も利用形態も広がっている。 本年度は、2006年から2014年までの有価証券報告書のデータベースの検索により、企業会計基準適用指針第15号の「開示対象特別目的会社」あるいは「特別目的会社」の開示頻度を、特別目的事業体の形態別に調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、平成27年10月21日付けで2015年度科研費に追加採択されたため、4月1日から開始した場合と比較すると,若干ながら第1年度(本年度)の当初予定から遅れている。今後の計画については、次項の「今後の研究の推進方策」に記載されている。
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今後の研究の推進方策 |
「開示対象特別目的会社」あるいは「特別目的会社」の開示頻度の調査では、その後「子会社に該当しないと推定」という規程が改正されているため、①開示対象特別目的会社の記載内容の変遷、②匿名組合、合同会社、投資事業組合、投資事業有限責任組合、信託受益権の法的形態に分けて、有価証券報告書での記載状況、非連結の状況についてデータの分析を行った。この結果、形態別に会計ルールの適用期ごとに増減が見られ、その主要な原因の分析が未了であるが、第2年度で引き続きさらに調査を進めていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、平成27年10月21日付けで2015年度科研費に追加採択されたため、4月1日から開始した場合と比較すると,若干ながら第1年度(本年度)の当初予定から遅れている。特に、夏期の海外における調査研究や資料収集の活動が、第2年度に繰り越されることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
第2年度には、海外における調査研究や資料収集を実施する計画である。
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