まず,管理会計研究方法論として,状況に埋め込まれた「常識的知識」に着目して管理会計実践を理解することで,管理会計の新たな理論構築が可能となることを示したが,特にアクションリサーチにおいては,実務家の実践的知識と研究者の科学的知識の対称性への理解が重要であることを確認した。さらに,本研究では,グローバル管理会計,原価計算制度,業績管理制度改革などへの関与を通じて,管理会計を通じた組織変革の可能性の検討を行った。その結果,例えば,海外子会社の管理において,本社からの支配型管理会計の強化によって,本社の管理会計能力と現地の経営能力の共進化が図られうることなどが明らかになった。
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