研究実績の概要 |
今年度は,これまでの研究成果を海外の学会で報告し,意見やコメントをもらうことを中心に準備し,実施した。 具体的には,European Association for Japanese Study(EAJS,ヨーロッパ日本研究協会) 2017,15th International conference(Lisbon, August 30 - September 2)において,「Corporate Social Responsibility and the Increase of Corporate Value in Japanese Financial Institutions」のテーマで報告し,参加者と議論することができた。 第一に,CSR(Corporate Social Responsibility)活動にかかる費用をコストとして考えることが一般的であるなかで,企業に余剰をもたらし,企業価値を向上させることに貢献している側面を,余剰分析のモデルを使って説明した。第二に,日本の地方銀行は,金融庁の行政指針のもとで,CSV(Creating Shared Value)概念を基盤に,本業である金融サービスを提供するなかに地域とのつながりを向上させることを模索している現状を紹介した。 欧米ではCSRが企業経営者をコントロールするガバナンスと表裏一体の関係にあるなかで,銀行が提供する金融サービスに着目した点が興味深いというコメントがある一方で,概念的なモデルのみでは理解が難しいとの課題をいただいた。 研究メンバーで課題を持ち帰り,今後は,地方銀行が観光資源の開発に投資と融資を組み合わせた行動に着目し,本業とのつながりのなかで地域や社会との接点のあるビジネスモデルをどのように構築しているのかを明らかにして行きたいと結論づけた。
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