研究課題/領域番号 |
15K03810
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
工藤 栄一郎 西南学院大学, 商学部, 教授 (30225156)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 会計導入教育 / 伝統的な学び / 新しい学び / アクティブラーニング |
研究実績の概要 |
平成27年度は、おもに、わが国における会計教育の史的変遷を明らかにするための研究と、いわゆるアクティブラーニングと称される新しい簿記会計の学びについての実験を国内および国外において実施した。 およそ150年に及ぶわが国の会計教育の展開について、その前半部分(19世紀から20世紀初めまで)、すなわち、①簿記会計教科書の生成導入期(1880年代まで)、②多様な教育内容の出現期(1900年代)、③商業教育制度の確立期(1910年代)、④最初の会計教育制度といえる「甲種商業学校簿記算術教授要目」の策定前後の期間(1920年代)それぞれの期間においてどのような導入教育の実践がなされていたのかを検討するための基礎資料として、大学や高等商業学校などの高等教育課程ならびに甲種商業学校など中等教育課程で使用された教科書に関する資料確認とその収集を行った。 また、海外における研究協力者の協力を得て、韓国(国立プギョン大学校・東義大学校)と台湾(国立台湾政治大学)において、モノポリーを用いたアクティブラーニングによる会計導入教育のデモンストレーションを実施し、会計学習のモチベーションに関するアンケート調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間の1年目である平成27年度は、本研究課題申請時に在職していた熊本学園大学から西南学院大学へ移籍したことによって研究環境の再整備に時間がかかったこと、公的機関からの委嘱業務(年間70日間ほど東京で従事)があったこと、ならびに、研究分担者として参加している他の研究課題の最終年度にあたったことなど、申請時点において予想が困難であった主として上記3つの理由から、本研究課題に取り組む時間数を十分にとることができなかったため、進捗がやや遅れた状況にある。 しかし、当初27年度に予定していた文献資料等の収集とその分析という時間がかかる基礎的な作業の代わりに、28年度に予定していた、アジア諸国(韓国や台湾)の大学等におけるアクティブラーニングの実施とその効用の測定を前倒し的に行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に予定しながら実施できていなかった、わが国における会計教育の展開に関する歴史的研究の後半部分(1920~40年代に整備された中等教育課程における会計教育制度および1950年代に完成されるいわゆる「沼田簿記」に象徴される会計導入教育の成立過程)に関する資料収集とその分析を行う。また、わが国で展開した会計導入教育がアジア諸国にどのような影響を与えたかについての調査を行っていく。 28年度に参加する国内外の学会(報告を含む)は次のとおり。日本簿記学会(全国大会:報告予定)、日本会計研究学会(九州部会:報告予定、全国大会、関西部会)、国際会計研究学会(東日本部会、西日本部会、全国大会)、日本会計史学会(全国大会)、日本会計教育学会(全国大会:報告予定)、14th World Conference of Accounting Historians(イタリア)、8th Asia-Pacific Interdisciplinary Research in Accounting Conference(オーストラリア)、Academic Conference of Accounting for Uzbekistan and Japan: at Tashkent Financial Institute(ウズベキスタン:報告予定)などである。
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次年度使用額が生じた理由 |
「11. 現在までの進捗状況」において記述したように、申請時には予想しなかった複数の事由のため、27年度は当初予定に比べると研究の進捗度合いがやや遅れた。 資料収集についてはとくに遅れは見られないが、調査とくに海外における調査活動が活発にできなかったため、「旅費」の支出額が予算の3割足らずにとどまってしまった。これは、当該年度に確保できた当該課題に対する研究時間が少なかったことと、分担者として参加している他の研究課題で、本研究課題と密接に関連するテーマによる調査研究活動を海外で実施できたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度は、少なくとも3回におよぶ海外での学会に参加予定であり、それに付随した調査活動も実施予定であるので、27年度に予定していた支出項目「旅費」を中心に、実質的に繰り延べて使用する予定である。
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