本研究課題では、日本において政治参加が低調である背景に、一般市民の社会運動や政治参加に対する態度があるものと想定し、質問紙調査による国際比較分析を通して検討した。 分析の結果、日本では、政治的有効性感覚の低さや公的領域における自己実現的価値の弱さともあいまって、社会運動の代表性や有効性に対する評価が低く、秩序不安感を抱く傾向にある。そして、こうした態度が社会運動への参加に対する許容度とも関連しており、社会運動が受容されない政治文化を形成している。一方で、反グローバリゼーションや脱原発など個別の運動に対しては、政治に対して市民の意思を表出するプロセスとして評価されている側面もみられる。
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