本研究はテキストマイニングの技法をシステマティックに用いて近世英語における「社会」の概念史を構築した。その結果、主に以下の諸事実を明らかにした。1)近世英国の識字層は社会を、伊国を震源とする新古典主義に特有の外来語として捉え、土着語彙フェロシップやカンパニと同定した。2)16,17世紀をとおして社会は都市的な人間諸関係の全域を包摂するキーワードとして機能した。3)特に16世紀前半には二者間の関係、同後半には諸団体、17世紀前半には法人諸団体、17世紀後半には政治体制を指示した。 社会はこのような経緯で重要語句として政治的言論の中心に浮上し、以降、数世紀に渡る激変の連続を生き延びてきた。
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