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2016 年度 実施状況報告書

学歴社会のゆくえ

研究課題

研究課題/領域番号 15K03818
研究機関首都大学東京

研究代表者

中尾 啓子  首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (10274995)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード学歴社会 / 職業
研究実績の概要

2015年度にアメリカ社会学会にて報告した際に,学歴と職業の結びつきについて線形ではなく,カテゴリカルに分析する必要性を指摘された.そのため,当該年度ではカテゴリカルな分析を実行した.まず,カテゴリカルな分析をするために一般的な社会調査データでは,サンプルサイズの問題から分析が困難であった.そのため,国勢調査の個票データを使用した.個票データは,日本統計センターにオーダーメイド申請をして,職業小分類,学歴,年齢,性別を同定することのできるクロス集計表の形での提供を受けた.
そのデータをもとに,1985年から2005年までの職業と学歴の対応関係の変化を,対応分析から明らかにした.日本では,女性大卒層が85年段階では専門職との結びつきが強かったが,2005年になると事務職やサービス職との結びつきを強めていた.男性では,大卒層と職業の結びつきに大きな変化は認められなかった.しかし,短大・高専層などのいわゆる短期高等教育卒業者は専門職から事務職・サービス職への結びつきを強めていた.こうした変化は,高学歴化に伴う学歴プレミアムが減少し,男女ともに比較的高学歴層でも高い地位を得ることが難しくなっている状況を反映しているものと結論付けた.
さらに,比較のためアメリカの2000年のセンサスデータを分析したところ,アメリカでは,大卒層では男女ともに専門職との結びつきが大きい.しかし,非大卒層では,男女の職域分離が大きく,「男性職」,「女性職」と呼ばれるような性別と学歴が職業に強固に結びつた構造が析出された.
以上の内容をもとに111th Annual Meeting of American Sociological Association Open Refereed Round Table Sessionにて報告を行った.
今後は,学会での報告をもとに報告書の執筆を行う.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までの進捗状況はおおむね順調に進展している.これまで2015年度と2016年度にAnnual Meeting of American Sociological Associationにて報告を行い,研究を進めている.当初は職業と学歴の関連について線形の関係のみを対象に検討を進めてきたが,学会でのコメントをもとに非線形の関係についても検討を進めることになった.こうした非線形の関係については,当初予定していなかったが,当該研究課題の解明のためには非常に重要な視点であり,なおかつ当該研究課題を大きく前進させている要因となっている.
現在は学会でのコメントを整理し,研究内容をさらに修正しているところである.2015年と2016年度には論文の投稿を行うことはなかったが,学会の参加者から論文に投稿できるレベルであると指摘され,現在はSociology of Education への投稿に向けた準備を進めているところである.
以上の内容から,当該研究課題の進捗状況はおおむね順調と判断した.

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策であるが,次年度以降に研究会を数回開催し,報告書並びに投稿論文の作成を進めていく.
これまでの分析方針や研究の進捗状況を鑑みれば,今後,当該研究課題を推進するうえで大きな問題はなく,研究協力者らと共に議論を重ね,論文の執筆を行うことで,最終的な成果を作成する.

次年度使用額が生じた理由

当該研究課題では,次年度についてもAnnual Meeting of Sociological Associationにて報告を行う予定である.そのため開催地カナダへの旅費として次年度使用額が生じている.
さらに次年度は,当該研究課題の最終年度に当たるため,研究報告書の作成費とその通信費として使用する.

次年度使用額の使用計画

112th Annual Meeting of American Sociological Association の開催地であるカナダへの旅費として30万円を使用する.執行時期は8月を予定している.
約15万円については,報告書の印刷費・通信費として使用する.執行時期は2017年12月を予定している.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Trend in the Effect of Educaion on Occupational Attainment in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Keiko NAKAO, Takuya HAYASHI, Aya WAKITA, Yuya SAITOH
    • 学会等名
      111th Annual Meeting of American Sociological Association
    • 発表場所
      Sheraton Seattle,WA,U.S.
    • 年月日
      2016-08-22
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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