研究課題/領域番号 |
15K03822
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
竹ノ下 弘久 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (10402231)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 国際比較 / 移民 / 産業構造 / 失業 / 移民コミュニティ / 受入の文脈 / マルチレベル分析 |
研究実績の概要 |
本年度は、今回の研究プロジェクトの2年目にあたる。本年度は、日本の国勢調査のマイクロデータを用いた本格的な分析を行った。そして、海外共同研究者と協力して、日本、アメリカ、スウェーデンにおける移民の3か国比較研究の分析も行った。5月と8月には、シンガポールとスイスで開催された国際社会学会の社会階層部会の大会で、分析結果の中間報告を行った。8月のスイスの大会では、移民の失業の地域間格差をマルチレベル分析を用いて明らかにした。地域を特徴づける変数として、産業構造と移民コミュニティを変数として指標化し、その検証を行った。また、8月には日本で、アメリカとスウェーデンの海外共同研究者を招いて、移民に関する国際ワークショップを上智大学で開催し、私たちの移民の3か国比較に関する共同研究の中間報告を行った。そして、3か国比較の分析について研究打ち合わせを行った。移民の3か国比較については、分析結果を確定させ、現在、学術雑誌に投稿するための論文を執筆している。また、日本だけのデータを用いた詳細な分析も進め、論文執筆を行っている。また、8月末にスイスで開催された国際社会学会の社会階層部会の大会の後、スウェーデンのマルメ市に立ち寄り、海外の共同研究者を訪問し、近年のスウェーデンにおける移民受け入れの動向について、専門的知識の提供を受けた。また、彼女が所属するマルメ大学のMalmo Institute for Migration, Diversity and Welfareを訪問し、同研究所に所属する研究員から専門的知識の提供を受けた。11月には、予備的な調査として、ブラジルのサンパウロ人文科学研究所を訪問し、経済危機以降にブラジルに戻った日系人の動向やブラジルの日系人コミュニティの動向について、インタビュー調査を行った。これらのインタビューは、量的結果を解釈するための補足資料として活用する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この科研費を申請するために書いた研究計画書通りに、研究を着実に遂行している。2年目は、日本側の国勢調査データを総務省統計局から借りて、本格的なデータ分析を行っている。3か国比較についても、海外共同研究者と頻繁にスカイプを用いたミーティングを行い、また、上智大学に来てもらって、研究打ち合わせとワークショップでの研究報告を行うことで、着実に研究を前進させている。日本国内の詳細な地域間比較の分析についても、研究の中間報告を国際社会学会の階層部会で行い、多くのコメントやフィードバックを得た。現在は、他の研究者からのコメントを参考に、さらに詳細な再分析を行い、論文執筆を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
2017年度は、2016年度に進めた研究内容を前提に、着実に研究を進めていく予定である。現在、2本の論文を執筆中であるが、今年度中に完成させ、海外の学術雑誌に投稿する。また、国勢調査データや他の量的データを活用して統計分析を着実に進めていく。その際、大学院生の研究協力者の助力を得て、分析を進めていく。また、本年はこの研究プロジェクトの最終年度にあたるため、内外の学会で、研究成果について報告する。必要に応じて、研究成果を取りまとめるに際し、有益な示唆を得るべく、移民や階層について研究している内外の研究者から、専門的知識の提供を受ける。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2015年度に生じた未使用額を2016年度にすべて使い切れなかったために生じた。2016年度単独で見れば、この年度分の予算はすべて使用した。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究代表者が、上智大学から慶應義塾大学に異動することに伴い、研究遂行上様々な変化がある。まず、上智大学では、大学の予算で私に研究支援員を雇用してくれたため、その予算を使って、科研費プロジェクトの業務を遂行してもらったが、慶應義塾大学には、そのような予算はついていない。そのため本科研の予算を用いて、謝金を支出する形で、大学院生に統計分析や資料収集の作業にあたってもらう。
|