研究実績の概要 |
2017年度は、研究プロジェクトの最終年度にあたるため、国勢調査を始めとする公的統計や静岡県で実施された外国人調査のデータを用いて、分析を進め、研究成果のとりまとめを行った。福祉レジーム、地域の産業構造と移民の社会階層に関する研究を進めるために、以下の研究を実施した。第1に、地域の産業構造と社会階層とのかかわりを検討するために、2010年の国勢調査データを用いて分析を行った。具体的には、失業を従属変数とし、地域の産業構造や移民コミュニティを独立変数とするマルチレベル・ロジット・モデルを実行し、先行研究によって導出された仮説の検証を行った。第2に、福祉レジームをめぐる制度のあり方が、移民の階層構造にどのような影響を及ぼしているかを明らかにするために、移民女性の労働市場参加について、日本、アメリカ、スウェーデンの移民女性を対象とする国際比較研究を行った。これらは、アメリカ、スウェーデンの研究者との間で、国際的な共同研究を組織し、実施した。第3に、移民の社会階層や地域の産業構造、労働市場の諸制度の影響を異なる視角から検討するために、移民の住居が、かれらの労働市場における地位や階層とどのような関わりを有するかを明らかにする研究を行った。これらの研究は、様々な国際学会(American Sociological Association, International Conference on Social Development and Structural Change, International Workshop of Researching Home and Migrationなど)や海外の大学における招待講演などで報告を行い、国際的な水準でのチェックを受けた。また、これらの研究成果を論文として英語で執筆し、海外の著名な学術雑誌に投稿した。
|