研究課題/領域番号 |
15K03823
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
菅野 剛 日本大学, 文理学部, 教授 (10332751)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会的ネットワーク / 社会階層 / 郵送調査 |
研究実績の概要 |
本年度は、統計学やデータ分析について情報を収集し、手法について研究を進めた。また、社会階層と社会的ネットワークに関して実証的な研究を行うため、東京都港区地域において郵送調査を行った。対象地区において、25歳から64歳までの男女のうち、選挙人名簿より無作為に選ばれた1700名程度(系統抽出法)の方々へ、郵送調査への協力をお願いさせて頂いた。2017年3月時点までの回収標本サイズは504程度、回収率は29~30%程度 (宛先不明その他のため若干修正となる)。対象の方々よりご協力を賜った貴重なご協力に感謝申し上げる次第である。調査の準備、実施、データ化には時間がかかるため、これらの貴重なデータの整備と分析は今後少しずつ進めていくことになる。並行して、これまでの調査実施の経験やデータを分析することから示唆される、社会的ネットワークの測定における様々な課題について行動計量学会において報告・議論を行った。また、郵送調査において通常注目されない、返信封筒に含まれる情報を利用した分析を行い、行動計量学会で報告を行った。 社会的ネットワークの一側面であるソーシャル・サポートにも注目し、全国家族調査NFRJにおいて蓄積された貴重なデータを用いて分析を行った。特に、統計数理研究所の中村隆教授からデータ分析を賜ることが出来たことは大きい。中村のベイズ型コウホートモデルによる分析による知見は、本研究代表者一人では決して辿り着けないものであり、大変貴重な意義深い結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある程度順調に進展しているが、学内での建物の建て替えに伴う大規模引越しに伴って発生した雑務のため、多大な労力と時間がとられることとなった。まさに、「学術研究においては当初予期していないことが起こることがある」に該当する。2017年2月以降、調査作業の進行や研究が影響を受けている。これまでの調査票や関連書籍、データ分析の結果などの開梱と整理をするためには、今後かなりの時間と労力が必要となることが予想されるが、少しずつ作業を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
まず2016年度に実施した郵送調査について作業を進める。具体的には、対象となられた方々からお答え頂いた貴重な調査結果を数値データ化し、既存のデータとあわせて整備を進め、それぞれの地域社会の特徴と社会構造の状態について分析と考察を深める。その上で、2017年度も社会調査を実施する予定である。 近年は、隣接諸科学での研究の発展が著しい。そこで、並行して、統計学、データ分析、プログラミング等にの分野における動向についても情報収集を進め、新しい研究手法について習熟につとめる。 その上で、学会で発表を行うなど、研究の成果を形作っていくことを考えている。 以上のように、オーソドックスな社会調査を地道に実施するとともに、データサイエンスにおける新しい動向も視野に入れながら研究をすすめる。
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