本研究では、地域社会における社会階層と社会的ネットワークについて調査研究をさらに進め、統計学やデータ分析についての情報収集、社会調査を行った。2016年度に港区において実施したのに引き続き、2017年度は、品川区において1676名について無作為抽出・転記を行い(宛先不明・転居先不明を含む)、匿名の郵送調査を行った。年度末時点で暫定回収数520、回収率31%程度であった。調査対象者の方々から賜った御協力のお陰で、良質な社会調査データを蓄積することができた。そして調査票のエディティング、コーディング、データ入力などを進めた。その際、社会調査の作業において、今回は試みとして多くの場面で Google Apps を利用し、クラウド環境でリアルタイムの情報共有、同時並行作業を行うことで、作業の質と効率を高める工夫を行った。また、4年ほど前から実施している Emacs、Org-mode、R 等による Reproducible Research としてデータ・ハンドリングとデータ分析のプロセスを記述しつつ作業を進めている。なお、 European Survey Association のポスターセッションで分析結果を報告した。報告内容に対し10名ほどから質問を受け、貴重な示唆を得ることが出来た。そして、過去に蓄積した調査データとのマージ作業など、これらの貴重なデータの整備と分析は、今後も少しずつ進めていくことになる。また、大規模データを用いての今後の計算処理を念頭におき、データサイエンス分野での急速な発展を視野に入れ、 Julia や Python 等のプログラミング言語についての情報収集と利用も行った。
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