研究課題/領域番号 |
15K03826
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
村上 あかね 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (20470106)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 公営住宅 / 住宅市場 / 民営化 / 国際比較 / 公的統計 / パネル調査 / 東大社研若年・壮年パネル調査 / Eurostat |
研究実績の概要 |
(1)国内外の公的統計や資料・先行研究の整理、(2)既存の社会調査データの分析、(3)公営住宅データベースの作成、(4)オランダ調査の準備を行った。(1)については、総務省統計局「住宅・土地統計調査」や「全国消費実態調査」等から公営住宅居住世帯と他の世帯の特性を比較し、さらにアメリカやヨーロッパ諸国との比較から日本の住宅市場の特徴を析出した。現代日本の高齢無職世帯の中では民間賃貸住宅に居住する高齢者の家計負担が最も高く、若年・壮年期からの格差の連鎖・蓄積がみられること、住宅市場の民営化は格差の連鎖・蓄積を一層促しうること、公営住宅の数は少なく設備面や環境面での課題があることを見出した。(2)については、「東大社研若年・壮年パネル調査」を用いて家族歴と住宅の所有関係、住宅の所有関係とソーシャルネットワークについて分析し、家族歴と住宅の所有関係が密接にかかわっていること、住宅の所有関係とソーシャルネットワークにはあまり明確な関連がみられないことを明らかにした。さらに、個票データを用いて国際比較をするため、Eurostatの利用申請の準備を進めた。(3)について、(1)および(2)の課題、および今後予定している日本調査を補完するために、ある自治体のウェブサイトや住宅地図を用いて公営住宅データベースを作成したり、自治体関係者と意見交換を行った。(4)オランダ調査については、既存資料のさらなる蒐集、関係者および調査会社との打ち合わせ、現状に関する簡単なヒアリング、参与観察を行って現地の最新動向の把握に努めた。 以上の成果について研究会で報告したり、論文や著書を執筆している。さらに、2017年6月に香港で開催されるISA(International Sociological Association)のRC43(Housing and Build Environment)部会で報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題申請時には2018年度に在外研修となる見通しだったため、オランダ調査を2016年度に行う予定であった。その後、在外研修が2017年度に繰り上がったため、オランダ調査を2017年度に延期することとした。 第一に、日本で入手できるオランダ関係の資料は多くはなく、現地で資料を蒐集したり、研究のためのネットワークを構築してオランダ社会やオランダ語をできるだけ理解したほうがより深い調査を実施することができ、研究費の有効かつ適正な利用の観点からむしろ望ましいと判断したためである。第二に、これまでの資料から公営住宅に移民が増えていることを理解したが、世界的な移民排斥の動きから、2017年3月実施の総選挙の結果次第では調査対象者に大きな影響が及ぶ可能性も考慮したためである。第三に、これまでの打ち合わせを通じてオランダにおいては日本で言われているよりもはるかにオランダ語が用いられていることが判明し、資料蒐集やインタビュー調査の実施にあたって最低限のオランダ語の理解が必須であるとの認識に至ったため、教材が限られているなかでオランダ語の習得を目指していることから少々遅れがみられている。 Eurostatのデータ利用については、申請方法が従来の方法から大幅に変更になったことが進捗状況に影響している。公的統計の個票データであるため、所属機関の研究機関としての適正性、さらに信頼性の高いセキュリティ体制の構築とその詳細な説明が求められている。申請方法変更後、日本での利用例は見あたらず、所属機関およびEurostatとの連絡調整に相当の時間を要している。 公営住宅データベースはウェブサイトや一般書店で販売されている住宅地図をもとに作成したが、関係者との意見交換から、人権などを踏まえて公表には慎重な姿勢が必要であるとの認識に至り、どのように結果を公表するのが適切か検討している。
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今後の研究の推進方策 |
在外研修でオランダに滞在していることから、資料蒐集、情報提供、翻訳・通訳など研究に協力してくださる方とのネットワークを構築しつつあり、秋にオランダでインタビュー調査(半構造化インタビュー)を行う準備が進んでいる。対象者のリクルーティングや調査票についても日本の調査会社と一度簡単な打ち合わせをしているが、プリテストの実施を含む打ち合わせを本格的に開始する。並行してオランダ語の習得にも努めている。 Eurostatのデータ利用申請も引き続き連絡調整を行って利用許可を得られるよう最大限努力するが、認められなかった場合には他のデータを用いることも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題申請時には2018年度に在外研修となる見通しだったため、オランダ調査を2016年度に行う予定であった。その後、在外研修が2017年度に繰り上がることとなり、研究費の有効かつ適正な利用の観点、また2017年3月実施の総選挙の結果次第では対象者に大きな影響が及ぶ可能性等を踏まえ、オランダ調査を2017年度に延期することにしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はオランダでのインタビュー調査の経費とする。実施時期は延期したが、内容についてはおおむね申請通りの見通しである。
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