研究課題
本研究の最終年度にあたる平成29年度は、前年度までの消費者運動および消費社会論にかかる理論研究や、千葉県柏市での計量調査を踏まえ、福島県立医科大学が受け入れ先となるサバティカル研修を9か月間(4月~12月)取得できたことを生かして、原発事故から6年経った福島県内外での「風評」被害の状況や、消費者意識の変化についての研究に注力した。おもな研究内容は以下の通りである。【1】前年度から引き続き参与観察をしている、いわきの市民海洋調査グループ「うみラボ」とタイアップしているアクアマリンふくしま水族館でのリスクコミュニケーションイベント「調べラボ」にて、来場者を対象とした質問紙調査(予備調査1回、本調査2回)。【2】いわき市の水産業関係者、福島市・郡山市の果樹農家・コメ農家など、福島県内の一次産業従事者に、震災後の売上の変化と消費者とのコミュニケーションについて聞き取り調査。【3】福島県内および栃木県・山梨県・京都府で(自主的)避難者および帰還者への情報提供とコミュニケーション、子どもの保養支援に取り組む活動を続ける市民や医師に、放射線リスクを大きく見積もるいわゆる「危険派」の人たちの食品選択や、その経年的な変化について聞き取り調査。【4】消費者庁が実施した者等の消費者意識調査および福島県産品の市場データの震災後の経年変化について二次分析し、「風評」の残存と風化が同時進行する現状について計量的に検討。【5】福島第一原発事故後の状況を考えるうえでの参照点とするため、積極的な海外調査を行った。具体的には、1)5県産食品の輸入停止措置が続く台湾で消費者団体・環境団体・専門家・政府関係者等に聞き取り(6月)、2)チェルノブイリ事故後の諸対策についてベラルーシ・ウクライナを視察(8月)、3)同事故後にユニークな放射線防護体制をとったノルウェーの専門家に聞き取り調査(11月)。
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International Journal of Environmental Research and Public Health
巻: 15 ページ: -
10.3390/ijerph15010124