生産者と消費者の間の断絶は、福島第一原発事故後に露になったが、高度消費社会の中で事故以前から胚胎されていたものである。本研究では、まずエシカル消費などの新しい価値主導型の消費動向に関する理論研究と計量調査を行ったうえで、福島県内の農漁業者と県産品の市場動向、リスクコミュニケーションにかかわる市民活動への参与観察調査ならびに国内の消費者意識の検討のみならず、台湾・ベラルーシ・ウクライナ・ノルウェー等での比較調査から、原発事故後数年が経って以降のいわゆる「風評」被害をどう捉えるべきか、消費者・生産者関係の再構築という観点を中心に多角的に検討した。
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