研究課題/領域番号 |
15K03837
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
福田 友子 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (40584850)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 社会学 / 移民研究 / 中古車 / 中古部品 / ハラール食品 / インド料理 / イスラ―ム / 南アジア |
研究実績の概要 |
4年目(2018年度)は、7月まで在外研究でニュージーランドのオークランドに滞在していたため、その間はオークランドでの現地調査が研究の中心となった。6月には所属先機関にて成果の一部を発表した。 ニュージーランドのエスニシティ別人口統計(2013年国勢調査,複数回答可)を見ると,ヨーロッパ系ニュージーランド人68.0%,先住民マオリ系14.9%,アジア系11.8%(内,中国系4.1%,インド系3.6%),太平洋諸島民系7.4%である.一般的には中国系,インド系(南アジア系),太平洋諸島民系が,移民の3大グループと捉えられている.人口は都市に集中しており,中でもオークランド大都市圏の人口は139万人で,全人口487万人の約三分の一を擁する(2018年).移民は経済都市オークランドに集中しているため,オークランド圏内の移民の比率は,上記の国勢調査の比率よりはるかに高い.世界有数の多文化・多民族都市と認識される所以である。 現地調査の結果、南アジア系内部でもエスニック集団別に得意な産業が異なり,その現れ方が日本とニュージーランドで異なることが明らかになった。この違いの要因は、両国の移民政策の違いにあるというのが現段階の仮説である.たとえばニュージーランドの方が人口が少なく移民を戦略的かつ選択的に受け入れていること,英語の得意な移民が多くビジネスへの参入障壁が低いこと,農業立国であり食品産業への参入が推奨されること,難民をクォータ制で受入れており収容施設出所後に起業する傾向が見られること,などである。 ニュージーランド以外では、7月にシンガポールで開催された国際学会に参加し、併せてフィールドワークを実施した。また11月にフィジーで単独調査、12月にスリランカで共同調査を行い、中古車・中古部品貿易業者に関するデータを収集した。また国内調査や文献調査も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年目(2018年度)も、海外調査を中心に、国内調査、文献調査、学会報告、論文執筆など、一連の研究活動を概ね順調に進めることができたと考えている。 学会報告については、在外研究期間と重なり参加できる機会が少なかったが、7月にシンガポールで開催された東アジアの宗教に関する国際学会に参加することができた。日本におけるムスリム移民のコミュニティ形成について発表したところ、宗教学や宗教社会学といった隣接分野の専門家から多数のコメントを得ることができ、移民の宗教活動に注目した研究の可能性を再認識した。 なお在外研究中の調査は順調に進み、当初の計画以上のデータを収集することができた。一方、収集したデータの入力や分析作業が終わらず、成果をまとめるために必要な基礎的作業が一部残っている。加えて日本国内の研究者との意見交換も不足していると感じたことから、研究期間の延長を決めた。
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今後の研究の推進方策 |
5年目(2019年度)は、研究成果の総括に注力する。データが不足する部分については、日本国内での調査や文献調査を追加して補う。またすでに収集し終えたデータについては、入力・分析作業を進める。ある程度まとまった成果については、国内の共同研究者との研究会の機会を活用し、他分野からのフィードバックを得たい。また積極的に学会発表を行うことで、成果を順次公表していく。研究会や学会発表での議論を経たのちは、英語論文にまとめたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
3~4年目(2017~18年度)に1年間の在外研究が入り、当初計画していた海外出張の一部(たとえばカナダで開催された国際学会への参加、カナダ、チリでの現地調査)を取りやめた。その旅費分が繰越金となった。 5年目(2019年度)は研究成果の総括となるので、データ入力・分析の経費、英文校閲費、学会参加費などに充てる。さらに国内調査や文献調査の追加も検討しているので、その旅費に充当する。
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備考 |
http://email.business.auckland.ac.nz/2018/0620-Muslim-Migrants-Communities/ http://www.nzai.auckland.ac.nz/en/about/our-people.html#de9d55c3ac18189ca05f611ef188acc8
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