1990年代以降、不登校の特例として、学校教育法1条が定める学校(一条校)以外での義務教育の実施が容認されてきた。これは「実質的な教育義務型」の義務教育制度と解釈できる。フリースクール関係者が目指したのは、新たな法律を作り、全ての子供に一条校以外での教育義務の履行を認める「完全な教育義務型」だった。しかし、2016年末成立の教育機会確保法は「実質的な教育義務型」に留まった。 こうしたフリースクールの運動は、義務教育の民営化と親和的だが、自由市場競争の導入によって少ない税負担で質の高い公的サービスの実現を謳う新自由主義とは出自が異なる。フリースクール運動が目指したのは少数派の学習権保障である。
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