研究課題/領域番号 |
15K03843
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高谷 幸 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (40534433)
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研究分担者 |
樋口 直人 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (00314831)
大曲 由起子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00626327) [辞退]
稲葉 奈々子 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (40302335)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ニューカマー外国人 / 高齢化 |
研究実績の概要 |
ニューカマー外国人の高齢者率は低いが、「予備層」である50歳以上の比率は無視できない水準に達しており、高齢化に向けた研究が必要な段階に到達している。本研究では、この高齢者予備層である50歳以上の在日フィリピン人と在日ペルー人に着目し、主にインタビュー調査を通じて、その社会経済的状況と老後の戦略を分析する。また資源獲得の類型、トランスナショナルな移動に関する文献研究を通して、理論的枠組みの構築に努める。 本年度は、3カ年計画の最終年度だったが、引き続き調査を実施し、合計在日フィリピン人42名、ペルー人52名の調査を行った。調査データは引き続き分析中だが、その中間報告として、学会発表を行や論文の執筆を行った。あわせて研究会を実施し、今後の成果発表に向けて取り組んだ。 本研究の主な知見としては、在日フィリピン人の場合、来日から30年程度経過する中で、一定の社会的地位を獲得する者がいる一方で、不安定な生活状況や貧困に直面している者もおり集団内部の階層分化が進んでいること、その分化は主に家族形態によって規定されていることがあげられる。同時に、生活基盤が脆弱な者の一部はすでに60歳以上になっているが就労を継続している。彼女たちの年金は低額と見込まれ、高齢化に伴う離職後の生活基盤はより一層脆弱になる可能性が高いことが明らかになった。ペルー人調査による知見は、リーマンショック後の就労条件の悪化、帰国と再来日が家族(特に子ども)の生活に影響を与えてきたことが明らかになった。
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