研究課題/領域番号 |
15K03845
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松浦 雄介 熊本大学, 文学部, 教授 (10363516)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 産業遺産 / 地域再生 / 文化資源 / 脱工業化 / 比較研究 / 三池炭鉱 / ノール・パ・ド・カレー炭鉱 / ポピュリズム |
研究実績の概要 |
本研究は、炭鉱閉山後の産炭地において、産業遺産などの文化資源を活用した地域再生のプロジェクトについて、日本(三池炭鉱)・フランス(ノール・パ・ド・カレー炭鉱)・イギリス(ロンダ炭鉱)の比較調査を行うことを目的としている。一年目(昨年度)の夏季休暇期間中にフランス、二年目(本年度)の夏季休暇期間中にイギリスの調査を行い、かつ毎年数回、三池炭鉱を調査する計画である。 本年度は、日本の三池炭鉱とイギリスの炭鉱の現地調査と研究を行う予定であった。前者については計画通り調査できたが、後者については、以下の【現在までの進捗状況】に述べる理由により、行うことができなかった。その代わりに、昨年度に引き続いて6月にフランスのノール・パ・ド・カレー炭鉱を訪問し、産業遺産を活用した地域再生の現状について調査を行うとともに、パリのINALCOで行われた炭鉱の日仏比較研究をテーマとする研究会に参加した。 昨年度のフランス現地調査で明らかにできた日本との違いとして、炭鉱の集合的記憶の内容が挙げられるが、今回の調査では、この炭鉱地域を含むフランス北部が、極右政党「国民戦線」の一大支持基盤になっているという事実を知ることができた。アメリカでトランプ大統領の一大支持基盤であった「ラストベルト」同様に、脱工業化によって衰退した地域が排外主義的ポピュリズムの土壌になっているという現実が、この地域にもある。これは日本の産炭地では顕在化していない状況である。旧産炭地の国際比較社会学の研究を行う際には、このような政治社会学的視点も含める必要があることを認識した。この点もふまえて、来年度はイギリスにおいて現地調査を行い、旧産炭地の比較社会学研究を進めたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は産炭地の日・仏・英の比較調査を行う計画であり、一年目の夏季休暇期間中にフランス、二年目の本年度の夏季休暇期間中にイギリスの調査を行う計画であった。しかし本年度、大学の管理運営業務(教務委員長)のために、夏季期間中も長期の海外調査を行うことができなくなった。そのため、イギリスの調査は次年度(2017年度)に行うことにした。そのため、全体の進捗状況としてはやや遅れている。しかし、2017年度は夏季休暇期間中に、本年度行う予定をしていた調査を、無事に行える見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2017年度)の夏季休暇期間中に、今年度実施できなかったイギリスのロンダ炭鉱での現地調査を行い、旧産炭地の比較社会学研究をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定をしていたイギリスでの現地調査が、本務校での管理運営業務のために遂行できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度行えなかったイギリス現地調査を、今年度の夏季休暇期間中に行う予定である。
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