日本の横浜寿町、カナダ・バンクーバーのDTES地区における社会的排除、社会的包摂の実態とその背景構造を明らかにした。両地域はともに大都市インナーエリアに位置する低所得者居住地域であるが、横浜では高齢化や障がい者の増加、バンクーバーでは薬物依存と障がい者の増加が顕著であり、いずれも福祉ニーズが増大している。代表者は、両地域において質的社会調査を実施し、地域での福祉的支援の状況やそれを支える制度的な背景、住民への社会サービス、居場所づくりの実態を確認した。一方で、地域全体が福祉サービスに依存した状況では経済活性が図られず、福祉対象ではない低所得者が十分な収入を得られず生活困窮に直面している。
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