研究課題/領域番号 |
15K03852
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
武田 俊輔 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (10398365)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 祭礼 / 民俗芸能 / 他出者 / 移住者 / Uターン / 仲介者 / 少子高齢化 / 社会関係資本 |
研究実績の概要 |
本年度は滋賀県長浜市の長浜曳山祭に関して、山組組織内のコンフリクトやそれを通じた祭礼の活性化、若衆-中老間の対立を通じた祭礼・芸能伝承のダイナミズム、祭礼における若衆たちの山組外も含めた社会関係資本の活用と資金調達が持つ顕示的機能、山組外からの参加も含めた囃子の組織の再編成と祭礼の変容、山組組織間の対抗関係等について研究し、成果を編著書・論文として報告・刊行した。またユネスコ無形文化遺産登録をめぐる長浜市の動きとそれに対する山組組織の対応についても調査を行った。 また長浜市・米原市・草津市の各市内の祭礼・民俗芸能7団体についてインタビュー調査を行い、戦前・戦後において祭礼・芸能がいかに継承、また再創造されていったのか、また過疎化・少子高齢化が進む中での祭礼・芸能の継承の仕組みや資金調達の方法、他出者、移住者の参加状況について調査を行い、報告書を刊行した。 さらに山口県上関町祝島の4年に1度の祭礼である神舞について、祭礼の準備段階から祭礼後までの約3週間にわたって参与観察と聞き取りを行い、島民や他出者、島へのUターン者や移住者に対するインタビュー調査を行った。4年前の神舞の際の状況と比較しつつ、調査を通じて他出者の準備への参加状況と今後の島との関係性について明らかにした。また島民たちがUターン者や移住者たちを新たな島の担い手と位置づけつつ、祭礼における重要な役割を継承させていっている状況を踏まえつつ、島内において彼(女)らの受け入れを積極的に行った島民が、他の島民と彼(女)らとの間でどのような仲介的な役割を果たしたのかについて調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
祝島における調査に十分な進展が見られたこと、また長浜曳山祭に関する調査に基づく成果について論文3・編著書1と刊行したこと、長浜市・米原市・草津市の民俗芸能団体に関する調査も新たに行うことができたことで、十分に進展していると考えることができる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度以降は長浜に関してはユネスコ無形文化遺産登録後初の祭礼となり、そうした状況が祭礼そのものや担い手の活動と祭礼への意味づけに与える影響、自治体の関与といった点を踏まえつつ、調査を行っていく。またこれまで論じてこなかった、祭礼において必要とされる曳山の維持・管理を、少子高齢化や郊外化が進む中で担い手が、行政、修理に関わる職人や研究者の協力や拮抗関係の中で進めてきたのかという問題についても課題として取り組んでいきたい。 祝島については、祭礼後においても島民や他出者、島へのUターン者や移住者との関係性、仲介者の役割について調査を進めていく。また昨年度、一昨年度に調査を行った滋賀県内の祭礼・民俗芸能についても、引き続き継続調査を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、予定していた台湾での長浜曳山祭に関する研究報告において、出張旅費として使用する予定だったが、それが中止となったのが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、長浜曳山祭に関するユネスコ無形文化遺産登録にともなって行われる子ども歌舞伎東京公演やその他の事業に関して、新たに調査を行う必要が発生したため、その出張旅費として使用する予定である。
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