研究課題/領域番号 |
15K03864
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
魚住 明代 城西国際大学, 国際人文学部, 教授 (90228354)
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研究分担者 |
廣瀬 真理子 東海大学, 教養学部, 教授 (50289948)
相馬 直子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (70452050)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 家族の多様化 / 家族政策 / 国際比較研究 / オランダ / フランス / ドイツ / 韓国 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、主として次の3点に関して、オランダ、ドイツ、フランス、韓国の4か国比較研究を推進した。1.家族の多様性と家族政策に関する4か国先行研究の分析と研究会での議論、2.当該4か国とEUおよび日本に関する「家族政策比較年表」の作成、3.海外調査の準備作業と実施、である。 まず、多様化する家族を対象とする家族政策の比較の視点を定めるために、当該各国の先行研究を踏まえて、「家族政策」を初めとする基礎概念を定義した。その上で、比較の視点を揃えて、主に「ひとり親家族」に関する時系列データを収集した。それにより、日本との比較の前提となる研究成果を蓄積することができた。続いて、日本についても先行研究の収集と分析を行い、ひとり親家庭への支援における政策課題が、当該各国では政策としていかに取り組まれているのかを捉えると共に、家族支援組織の活動実態と範囲についても比較検討した。また、家族政策比較年表作成の共同作業を通じて、各国の変化の方向性について共通の理解を得た。さらに次年度学会報告の準備、研究費助成期間終了後の著作刊行等に向けての議論を深めた。 次に、当該各国における調査計画を立て、調査を実施した。ドイツに関しては、連邦政府の家族政策プロジェクトと地域の家族支援組織との連携に焦点を当てたヒヤリング調査を実施した。特に就労支援や住宅問題、保育問題等への対応について、行政担当者および支援組織から詳細なデータを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、城西国際大学キャンパスにおいて定期的に研究会を開催し(計5回)、主として次のような議論を行った。1.各国研究の進捗状況についての報告、2.各国の政策変化についての最新情報の共有、3.各国の先行研究の検討と理論的枠組みに関する議論、4.当該4か国と日本に関する家族政策年表の作成。 海外調査に関しては、多様化する家族への支援策として、特にひとり親家族支援に焦点を合わせた調査を行うこととし、各国共通の調査項目を立てた。ドイツに関しては、平成29年3月にケルン市とミュンヘン市において現地調査を実施した。市政府と地域支援団体による家族支援事業の聞き取り調査を行い、現在調査結果を分析中である。オランダと韓国については、調査の準備を完了し、平成29年度前半に調査を延期している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、オランダと韓国の調査を行い、調査結果を踏まえて4か国の比較を行う。さらに文献研究を深め、日本国内での調査も実施する予定である。ひとり親家族への支援に手厚い地方自治体、支援団体(NPO等)、政治家等を調査対象とする予定である。調査実施に向けて、今後は研究会を重ね、文献研究や専門家の意見を踏まえた十分な準備を行う。調査後は、当該4か国比較の成果を踏まえて、日本における政策的課題と問題点を問うこととする。 本研究成果の発表の可能性として、1、平成29年度に国内の学会で報告を予定している。2.研究成果をまとめた著書の出版計画を具体化しつつある。3.一般市民を対象とした公開研究会等を実施し、社会に研究成果を還元する方法を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、以下の2点である。1.研究会において専門的知識の提供を受けて意見交換を行うべく、ゲストスピーカーを招く予定であったが、候補者との日程調整がつなかったために、実施を平成29年度に延期することとなった。2.オランダの海外調査を延期した理由は、同国で平成27年に児童福祉行政に関して抜本的な改正が行われたため、法改正直後よりは1年後のほうが、改正前と改正後の変化を知ることができると考えたためである。しかし、調査内容については、既に具体的な計画が出来ていることから、平成29年度に速やかに実施する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に先送りした、ゲストスピーカーを招いての研究会および、海外調査(オランダと韓国)を実施し、渡航費、現地での調査協力者への謝礼等に支出する予定である。また、日本国内での調査も計画通り実施し、その準備のための文献購入、調査のための国内移動費等の経費に支出する。平成29年度の後半には、学会での報告を計画しており、その際の資料作成や、報告要旨の英文チェック等の支出も予定している。
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