研究課題/領域番号 |
15K03871
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
鈴木 規子 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50610151)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | EU市民権 / 移民研究 / フランス研究 |
研究実績の概要 |
EU市民権のパラドクスを研究するため、2015年度はまず、2014年にフランスで行われた、欧州議会選挙と市町村議会選挙に関する分析を行うこととし論文にまとめた。共著として刊行するための準備中である。また、これら2つの選挙に関連して、ヨーロッパにおける極右政党の台頭についても研究している。主に資料収集を行い、分析しているところである。フランス市町村議会選挙で外国籍EU市民の中で最も多く選挙登録をおこなったポルトガル系移民について、彼らのフランス社会への統合の状況についていくつかの国内の学会や研究会(三田社会学会、白山人類学会、移民政策学会)で報告した。報告した内容については論文としてまとめて、「三田社会学」と「白山人類学」に発表した。 当該年度は、前半はギリシャ危機の対応をめぐりEU加盟国の足並みが乱れたり、その後はシリア難民がヨーロッパへ大量流入したためEU内部の対応が分かれたりして状況が流動的であった。また、EU加盟国によって立場が異なっていたので、現地の様子を知るために、7月に1週間渡仏した。パリで行われた欧米のヨーロッパ研究者の集まる学会に参加して、勉強することができた。さらにフランスでイスラーム過激派による2度目のテロ事件が起こり、移民の市民統合が再び問題視されたことから、フランスのライシテをめぐる論調や市民統合に関する文献を収集して研究した。その成果をまとめて「三田評論」に発表した。 なお、ストラスブール大学との研究連携について、2月に学内資金によって同大学政治学院から2名来日し講演をしていただき、3月には同大学を訪問して講演を行った。これを機に、同大学の研究者と研究連携を深めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パリで起こったテロ事件の影響から、パリやブリュッセルの現地調査の実施を延期したため、欧州議会での調査や在仏イギリス系移民等への現地調査ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
イギリス系移民に関する研究が遅れているので、それをまず進める。また、今年イギリスのEU離脱を問う国民投票が行われることになっているので、現地調査を含めて対EU意識の調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月中にフランス語の翻訳あるいは校正をする必要があったため、その分が繰り越された。
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次年度使用額の使用計画 |
3月中にフランス語の校正業務を依頼して、完了している。
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