研究課題/領域番号 |
15K03871
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
鈴木 規子 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50610151)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | EU市民権 / ポピュリズム / イギリスEU離脱 / フランス大統領選挙 |
研究実績の概要 |
EU市民のEUに対する反発として2016年にイギリス国民投票でEU離脱という結果が表明されてからイギリスや他のEU加盟国に居住するイギリス人移住者について調査を継続してきた。Brexitの影響もあって、2017年5月に行われるフランス大統領選挙では、選挙前の政治状況では反EUの極右政党(国民戦線)が支持を集めていた。そうした経緯から、フランスにおける反EUの市民意識がどの程度広がっているのか、フランスの大統領選挙の前後にわたって現地で聞き取り調査を行った。選挙前にパリとストラスブールを訪問した際には、(1)選挙民の意識の比較を考察することを目的に情報収集をつとめ、(2)ストラスブール大学政治学院教授のシルマン教授から選挙キャンペーンの状況について情報収集し、(3)ストラスブール在住のイギリス人たちから国民投票の結果に対する聞き取り調査を行った。この調査内容については原稿を執筆中で日本で発表する予定である。大統領選挙中の5月に再度パリを訪問し、反EUのルペン氏とEU支持のマクロン氏の討論会をみたり、当選結果を現地で目の当たりにすることができた。また、現地仏人ジャーナリストやミッテラン財団研究員から選挙結果に関する分析情報を得ることができた。10月には、ストラスブール大学政治学院のヴァッセンベルグ教授を短期招聘して、ヨーロッパにおける難民危機、ポピュリズムの危機に関する国際シンポを開催した。この講演会の内容をもとに、EU加盟国の市民のEUに対する反発をEU市民権と関係づけながらまとめ、その結果は、ヴァッセンベルグ教授と共同研究として発表することを計画している。大学を異動することになったため、年度末に予定していた海外調査を2018年度に延期したため予算の繰り越しが生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
大学を異動することになったため、異動の準備等で年度末に研究が滞ってしまったことと、年度末に予定していた海外調査に行けなかった。そのため予算の繰り越しが生じた。イギリス人移住者に関する情報の入手が難しいため、計画から遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
フランスを中心に反EU意識の高まりの実態、イギリスのEU離脱の影響を受けるイギリス人移住者について調査をしながら、EU市民権を支持する市民と反対する市民の現状の検討を続けていく。フランスのイギリス人移住者調査が限定的になっているため、よりイギリス人移住者の多いスペインも調査対象に加えてより多くの被験者を集めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学を移ることになったため、海外研究に行く計画が延期となった。次年度に海外(スペイン)で現地調査を行うための旅費と人件費(通訳)にあてる予定である。
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