研究課題/領域番号 |
15K03876
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
鈴木 玲 法政大学, 大原社会問題研究所, 教授 (20318611)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 労働運動 / 社会運動 / 公害 / 水俣病 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、水俣病関係については、新日窒労組が患者支援を行った際に重要な役割を果たした元委員長に11月23日に聞き取りを行った。1962年の安定賃金闘争から68年の「恥宣言」までの間の組合員の水俣病に関する認識、68年以降の組合と患者団体・患者支援団体の連携の実態について話を聞いた。1月23日には東京「告発する会」で活動してきた活動家複数に当時の大学生が水俣病支援にどのようにかかわったのか、全共闘運動や他の社会運動との関係などについて聞き取りを行った。また、熊本学園大学水俣病研究センターが開催する「チッソ労働運動史研究会」に8月24日、12月17日、3月31日に参加し、共同研究のまとめ方の検討および岡本達明著『水俣病の民衆史』(日本評論社、全6巻)の合評を行った。 アメリカの労働運動と環境運動の連携関係については、モノグラフを中心とした文献調査を行い、1960年代末から80年代末にかけての公害事件と労働組合と住民運動の関係について検討した。文献調査の結果、「社会運動ユニオニズム」の特徴のひとつである労働運動と社会運動・住民運動との連携は、制度化された労使関係の下でも一定程度存在することがわかった。しかし既存研究は、職場、地域レベルでの労働運動と環境運動との連携関係(あるいは対立関係)の形成の実態、いったん形成された連携関係のその後の展開について、まだ十分に解明をしていない。文献調査で得た知見は、「アメリカの公害問題と"Blue-Green alliances"についての考察」というテーマで、法政大学大原社会問題研究所主催「環境・労働問題研究会」で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の平成27年度の研究計画で予定していた、水俣病闘争関連の調査で、水俣病闘争を通じて水俣に移住して生活している「告発する会」の元会員からの聞き取りを行うことができなかった。また、四日市公害関係の資料収集・聞き取りを実施することができなかった。なお、アメリカの労働運動と環境運動の連携関係の文献調査は予定通り進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、前年度に行えなかった水俣に居住している元活動家の聞き取りを行う。また、四日市公害関係では、公害闘争にかかわった労働組合(自治労三重や三泗地区労)および公害発生企業の労働組合の組合新聞や他の資料を探す。もし、四日市公害関係の労働組合関係の資料の入手が困難な場合、他の大気汚染地域(例えば川崎市)の労働組合資料の収集も視野に入れる。 また、アメリカ調査ではOCAW(石油・化学・原子力国際労働組合)のアーカイブズがあるUniversity of Colorado, Boulderを訪れ、文献調査をすることを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
水俣市や四日市市での調査を行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
水俣市や四日市市の調査およびアメリカのアーカイブズ調査を予定している。
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