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2016 年度 実施状況報告書

労働運動と環境運動の連携関係の日米比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K03876
研究機関法政大学

研究代表者

鈴木 玲  法政大学, 大原社会問題研究所, 教授 (20318611)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード労働運動 / 社会運動 / 公害 / 水俣病 / 住民運動
研究実績の概要

平成28年度は、アメリカの労働運動の公害(環境汚染)問題の取り組みについて、米コロラド大学のアーカイブズで12月に資料調査を行い、資料を分析しまとめた。資料調査の対象は、コロラド大学ボルダー校図書館特殊資料収集室所蔵のOCAW(石油、化学、原子力産業の組合)本部資料で、とくに同組合(ローカル3-631)が関与したMAPCO社デルタ製油所争議(テネシー州メンフィス)資料および争議中の労働組合と住民運動の連携に関する資料である。またOCAW組合新聞で環境問題を扱った記事も収集した。
帰国後、収集した資料のなかから重要と思われる約50の組合文書や地元新聞記事およびOCAWの組合新聞記事に基づき、同争議の開始から終了までの経緯、OCAWのローカル組合と近隣住民との環境汚染問題についての連携関係の形成とその性格、同争議のOCAWの公害問題取り組みでの位置づけについて分析し、その結果を論文にまとめ法政大学大原社会問題研究所月例研究会(平成29年1月)で報告した。
新日窒労組の水俣病問題への取り組みについては、熊本学園大学水俣学研究センターが主催する「チッソ労働運動史研究会」6月18日、8月19日、12月28日に参加し、共同研究のまとめに向けて研究会参加者がそれぞれの研究の進展状況を報告・議論した。共同研究において、研究代表者は新日窒労組の水俣病問題の取り組みが、60年代末~70年代初めの労働運動全体の公害問題への取り組みにどのように位置づけられるかを検討することとなった。そのため、主要な企業別組合(八幡製鉄労組、日本鋼管労組)が公害問題にどのように対応したのか組合機関紙から情報を収集した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

OCAWアーカイブズ訪問は予定通り行うことができた。アメリカの環境運動と労働運動の連携に関する文献調査も順調に進んでいる。他方、四日市公害に対する労働運動の取り組みについては、重要な役割を果たした自治労三重の組合資料の閲覧が実現できず、進んでいない。また、日本の他の労働組合の公害問題への取り組みの調査(主に組合新聞や関連文献に基づく)を開始したものの、まだ初期段階である。

今後の研究の推進方策

アメリカでの文献調査を進める。当初はOCAWローカル4-620によるルイジアナ州のBASF争議について調査を行う予定であったが、28年度のOCAWアーカイブズ調査で、BASF争議のモデルとなったとされるMAPCO社デルタ製油所争議の資料が多く見つかり、また争議における労働運動と住民運動の連携関係から重要な示唆を得ると判断し、後者の争議に研究の焦点を移すことにした。今後、MAPCO社デルタ製油所争議が起きたテネシー州メンフィスで、地元新聞のアーカイブズ調査および80年代半ばの環境問題について住民運動団体の活動家から聞き取りを行い、住民側から組合をどのように見ていたのか検討する。また、他の組合アーカイブズでOCAWや労働運動と環境運動の連携関係の資料調査を行う。

日本の労働組合の公害問題への取り組みについては、四日市公害と環境未来館を通じ資料を収集するとともに、新日窒労組と同時期に公害問題や環境汚染問題や原発問題に取り組んだ鉄鋼産業労組、化学産業労組、電力産業労組の資料を収集する。他の労働組合の公害問題への取り組みを分析し、新日窒労組の水俣病への取り組みの事例を相対化する。

次年度使用額が生じた理由

アメリカでの調査で追加調査が行えなかったため。四日市市での調査が行えなかったため。

次年度使用額の使用計画

アメリカでの追加アーカイブズ調査(メンフィスの地元紙アーカイブズおよび他のOCAW関係組合文書アーカイブズ)および、水俣市や四日市市の資料・聞き取り調査を予定している。

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公開日: 2018-01-16  

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