研究課題
研究代表者の推計によると、滞日ムスリム人口は、2006年の6~7万人から2016年の17万人へ増加した。また、モスク(恒久的礼拝所)の数も2005年の43から2017年の100へと増加を続けており、日本のムスリム・コミュニティの存在感は格段に高まった。本年度は、モスクが所在する地方自治体におけるイスラム認識やムスリム対応について、調査を進めた。全国の95自治体を対象として、2017年11月に質問紙調査を実施した。有効回収数は、73であった。調査内容は、多文化共生施策、モスク認知やムスリムとの交流などであり、結果概要は、以下の通りであった。モスク所在を認知している自治体は、7割であったが、これら自治体でも、モスクとの交流は多くなく、うち7割近い自治体は、モスク訪問の予定はないとの回答であった。また、モスクやムスリムを対象とする多文化共生施策は、1割強の自治体で取り組まれている程度で、地方自治体とイスラム団体との交流は少ないのが現状であった。結果の精査を踏まえて、来年度以降、地方自治体におけるイスラムに対する多文化共生施策の調査研究を継続予定である。上記調査とは別に、イスラム団体、特にイスラム復興と実践活動を主とする、タブリーギー・ジャマーアトに関する調査を海外で実施した。同団体は、日本でも外国人ムスリムを中心に多くの支持者を集めている活動である。マレーシア調査では、1980~90年代に滞日していた活動家を通じて、当時のイスラム復興運動の展開状況についての詳細なデータ、イギリス等の調査では、ムスリムコミュニティと地域社会、宗教教育施設における多文化教育の視点から活動の経緯や実態などを把握した。なお、第10回「全国マスジド(モスク)代表者会議」を2018年2月に「日本のムスリムコミュニティを問い直す」と題して開催し、若者世代のムスリム多数の参加も得て、将来課題を議論した。
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