研究課題
基盤研究(C)
本研究は、歴史上もっとも早く実用化された種痘(天然痘にたいする予防接種)を事例に、それが法制度化され実施される過程で、いかなる議論があったのかを検証しすることで、予防というかたちをとった身体への医療の介入が帯びる政治性を実体的に明らかにしようと試みた。分析の結果、種痘をめぐる議論の焦点は、当初の人口の維持・回復を企図した「必要性」から、明治期半ば以降には「有効性」・「強制性」へと遷移し、1960年代後半以降はそこへ「副反応」とその救済とが加わったことが明らかとなった。
医療社会学 医学史