研究実績の概要 |
2015年度は、研究計画にある先行研究のレビューとデータの整備を行った。文献については、比較的長期にわたる家族と女性労働の文献をレビューした。数量データは入手制約から、近現代のものに限られた。データについては、重点的にOECD諸国について入手し、共働き社会化にかかわる重要なデータをある程度集めることができた。 このうち、現代の女性労働および性別分業に関わる部分については、書籍の担当「ポスト工業社会の課題と東アジア」筒井淳也・グワンヨン・シン・柴田悠編著『ポスト工業社会における東アジアの課題』ミネルヴァ書房、Maki Takeuchi and Junya Tsutsui, Combining Egalitarian Working Lives with Traditional Attitudes: Gender Role Attitudes in Taiwan, Japan, and Korea, International Sociology, 25(1):100-116、筒井淳也・竹内麻貴「家事分担研究の課題:公平性の視点から効果の視点へ」『季刊家計経済研究』109:13-25においてその成果を反映させた。 実質的な発見を短くまとめると、前近代における「家」経営下における家族形成期から、戦後の一時期にみられた性別分業家族の安定期を経て、現代家族は再び不安定化しつつあるという長期展望が仮説的に構築された。
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