研究課題/領域番号 |
15K03895
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
筒井 淳也 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90321025)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 女性労働 / 家族 |
研究実績の概要 |
2016年度は、研究計画にある統計分析を主に実行した。女性労働の長期変化についての記述的な分析は、一般書『結婚と家族のこれから』(光文社新書)としてすでに成果を出すことができた。 よりテクニカルな分析としては、"Female Labor Participation and the Sexual Division of Labor: A Consideration on the Persistent Male-Breadwinner Model" (Japan Labor Review)、"Dual-earner Couple Society as a Solution?: From a Perspective of Studies on Child-birth" (Sociological Theory and Methods)に学術論文として掲載することができた。また、Mizuochi Masaakiとの共同報告"Breakaway from the Choice between Work and Marriage?: A Panel Data Analysis of Willingness to Marry in Japanese Women"を国際学会にて行った。 これらは女性労働を出生や学歴との関連といった構造・行動要因のなかに位置づけるものである。サービス労働化と高学歴化のなかで女性の「再労働力」が進む中で、女性の高学歴化や出生行動はそれをどのように促進あるいは阻害するのか、という論点について、国内のパネルデータあるいは国際比較データ(主にOECDデータベース)を用いて統計モデルを用いた分析を行ったものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「実績」の欄に書いたとおり、いくつかの研究成果の出版ならびに報告によって、女性労働を促進・阻害する(政策以外の)環境的な要因についての検討を行うことができた。データセットについてはまだ完全にそろえられていないところはあるが、現状での分析は概ね予想通りの結果にそうものであった。 海外へのヒアリングは十分な準備ができず実施できなかったが、海外での学会報告から得られた知見や、海外から招聘した研究者から話を聞く機会もあり、本研究にとって有用な情報を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
女性労働を促進する構造要因が、主にサービス労働化と高齢化にあるという知見をデータでしっかりと裏付けすることが今後の研究課題となる。データベースは整備しているが、統計的な分析ではまだやり残した部分もある。 ただ、上記のような構造要因がどのように促進的に機能するかについては社会ごとの個体差も大きいことが現状の分析から示唆されている。この点については、事例や制度の研究によってモデルを保管していく必要があると思われる。そのために文献を追加的にみていく必要があるだろう。
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