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2015 年度 実施状況報告書

ハーム・リダクションの社会学─薬物政策をめぐる現代的変化とその含意に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K03901
研究機関関西学院大学

研究代表者

佐藤 哲彦  関西学院大学, 社会学部, 教授 (20295116)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード薬物 / ハーム・リダクション / 薬物政策
研究実績の概要

平成27年度は、まず、ハーム・リダクションが当初は薬物使用者による自助活動として成立・展開した経緯について、その当時のローカルな薬物問題に関連する文書資料を収集した。とくにイギリスではある地域でローカルに展開された公衆衛生活動に関するものを図書館などで収集した。また同時期に出張したオランダでは、ハーム・リダクションへと展開する自助活動展開当時の歴史について詳しい歴史研究者らにインタビューを行った。ただしこの研究者はアムステルダムの情報が中心であったため、ハーム・リダクションへと展開する自助活動の発祥地であるロッテルダムでは、他に薬物使用者組合など使用者の自助活動について詳しいNGOの専門家と薬物政策研究者にインタビューを行った。とくにその際、当時その活動を主導した人物(故人)と一緒に活動した関係者にインタビューを行うことができた。これは翌年度も続ける予定とし、また同時期にアムステルダムで同様の、しかしその細部は異なる活動を指導した関係者の情報を収集できたので、これを翌年度には行うことを計画した。次に27年度秋には、国際ハーム・リダクション学会に出席し、世界各地のハーム・リダクション研究者(その何人かとは既知)と情報交換を行うとともに、ハーム・リダクションをめぐるさまざまなディスコースを収集することができた。この機会はハーム・リダクションをめぐるポリティクスについて詳しく知る機会ともなったと同時に、使用者自身や使用者支援の活動家、支援のソーシャルワーカーらと情報交換を行うことで、翌年度の調査の足がかりを作る機会ともなった。とくにNGOネットワークのワークショップに参加したことで情報収集領域を拡大することが出来、支援者らが用いるディスコースを記述することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたインタビューおよび資料収集は、ほぼ予定通り行うことができた。さらに加えて、国際学会に参加したことで、ハーム・リダクションをめぐるディスコースを記述する機会を、当初の予定以上に得ることが出来た。加えて、翌年度の展開可能性も広げることが出来た。以上により、順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

基本的には申請時の研究計画に基づいて今後も展開するが、27年度の研究の進展を踏まえて、また27年度に新たに得られた情報などを利用して、28年度は主に使用者組合の関係者に直接インタビューを行うことを計画している。また同時に2016年4月に行われた、薬物政策に関する国連の特別集会(UNGASS 2016)を踏まえたハーム・リダクション・ディスコースを、より広汎に記述することが必要であると考えられる。その際には、そもそも歴史的に使用者周辺から発したディスコースがその後、そして現在も、どのように展開してきたのかについて、他のよく似たケースなどを発掘して参考にしつつ、考察する必要もあるとも考えられる。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額はわずか1589円であり、外国出張時に生じた、計画時との為替の誤差である。

次年度使用額の使用計画

27年度と同じく外国出張に用いる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 薬害の社会学的記述に関する考察 : 薬害ディスコースの分析2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤哲彦
    • 雑誌名

      関西学院大学先端社会研究所紀要

      巻: 13 ページ: 89-104

  • [学会発表] 薬害の一般性とその概念化における課題をめぐって2015

    • 著者名/発表者名
      佐藤哲彦
    • 学会等名
      関西社会学会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2015-05-23

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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